劇団四季「ジーザス・クライスト・スーパースター」 大阪公演を観て
「オペラ座の怪人」以来の四季劇場となりました。常に衣装や振り付けなど華やかな舞台しか知らない自分にとっては、「ジーザス・クライスト・スーパースター」はかなり異質な趣を感じました。
まずは、ほとんど色彩がありません。荒れた茶褐色の大地に同化してしまったかのようなイエスをはじめ、民衆のみすぼらしき姿。(白に身を包んだヘロデ王と侍女たちが登場したときは、舞台が突然明るくなったような感じを受けたくらいです)それだけリアリズムに徹し、貧しく虐げられていた人々を描いたのだと思いました。
またそのリアリズムは、衣装だけではなくイエスその人の心情にも及んでいました。イエスを演じていた物静かな金田俊秀さんの歌声が、突如として金きり声に変わるとき、まさに神の子ではなく、人間の子としての苦悩がにじみでているようでした。そこには奇跡を行い、愛をほどこしたスーパースターのイエスの姿はなく、無力になった我が身を民衆にとりつくされ、ついには弟子にも裏切られるという悲惨なものでした。
また、初めて知ったのですが、イエスが処刑されるとき民衆は「イエスを十字架にかけろ!」と叫ぶのですね。「金の切れ目が縁の切れ目」的に手のひらをかえしてしまう民衆というのは、時にして残酷なものだと思いました。
ムチを打たれ(正直もう止めてほしいと思ったくらいです)、最後の磔のシーンの音を立てて手と足に釘を打ち付ける所も、目を覆いたくなるほどでした。きっとキリスト教徒なら、思わず手を合わせるのではないかと思うくらいのラストでした。
ただカーテンコールで、「復活」されたイエスはみんなで輪の中に囲いこまれ、ようやく救われた気分になることができました。重いテーマでしたが、音楽のアクセントに合わせ躍動する手足のダンスは、素晴らしいものがあったし、心に残るたくさんのナンバーもありました。ユダを演じられた金森 勝さんが「私たちは命懸けで舞台をやっている」と胸をつまらせながら語っておられましたが、また四季の作品が好きになってしまいました。
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