田村裕著「ホームレス中学生」を読んで
麒麟の田村裕の中学・高校時代を描いた作品。
ほとんど「タレント本」というのは読んだことがないし、興味もおきませんでしたが、今回この本を買って読んでみようと思ったのは、中学校の教員としてタイトルの「中学生」という言葉に関心を持ったのと、田村少年が通っていた中学校は、自分が勤める中学校と同じ市内にあり、親近感を感じたからでした。
父親の「(家族)解散!」宣言により、中学生が「家」を失い、ひとり公園のウンコのような形をしたスベリ台の下で生活するなど、全く想像できないことです。大人ならたとえ「ホームレス」になったとしても、何らかの知恵で生き延びる手段は考えついたであろうに、お金もない少年にとってはひょっとすればそれは「死」をも意味していたと思います。しかし、作者は強がりを見せたかったのか、その生活に耐えようとします。ちびっ子達の襲撃、ハトとのエサの取り合い、すさまじい話が続きますが、お笑いタレントらしくこのあたりは、おもしろおかしく書かれています。しかし、その書きぶりが一変するのは、母親の死を語るあたりからです。自分の生に意味を見いだせなくなくなった田村少年は、母にほめられるような「死」を模索しようとします。このあたり、その心象風景に涙せずにはおれませんでした。そこへ、自分の心を開いて接してくれた高校教師との出会い。道徳の本に書かれたような「励まし」では、きっと作者は立ち直れなかったことでしょう。けっして教師くさくない工藤先生の人間的な言葉が彼を変えていったのだと思います。
今、中学3年生を相手に進路指導をしていますが、ここまで自分と向き合って「漫才師」の道を選んだ田村君に、学ぶべきことは多いように思いました。
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