スペシャルドラマ「マラソン」を観て
韓国の自閉症の青年であるパク・ミギョンさんの手記「走れ!ヒョンジン!」をもとに描かれたドラマ。走ることが大好きな宮田彰太郎(二宮和也)に、母親の晴江(田中美佐子)はフルマラソンを3時間以内で完走するというサブスリーの記録を取らせることをめざし、元駅伝選手の野口洋二(松岡昌宏)にコーチを依頼するが、自閉症という障害のためにコミュニケーションが取れず困惑してしまう。そして・・・。
ドラマを通して自閉症の子どもをかかえる母親の苦しみが、浮き彫りにされていたように思います。山登りをさせ、走らせるのは本当はくたくたに疲れさせて、夜ぐっすり眠らせなければ、自分の時間を持てなかったという言葉に、自閉症の子どもに毎日向きあわなければならない母親のしんどさがにじみ出ていました。それでも「くじけない心は、負けない気持。迷ったときは前を向く」を家族の合い言葉とし、少しでも理解しようと努める姿や愛情が、裏表のない素直な気持ちを持つ彰太郎の心に伝わり、彼をしてがんばらせていったのだと思います。そんなピュアな気持ちを持って、傷だらけになっても走り抜こうとする彰太郎のいたいけな姿に心を打たれました。欲得を考えずに、ただ「虹の向こうに行けば願いがかなう」という言葉を信じ、ひたすら虹を追い求めようしていた彰太郎に、忘れかけていた何かを、走ることを諦めていたコーチが思い起こしたように、観る人みんなにも思い起こさせたのではないかと思います。また「どうしようもなくなった時が、また何かの始まり」という母親の言葉にも勇気づけられました。
難しいと思われる自閉症の青年役を演じた二宮和也が素晴らしかったです。焦点の定まらない視線、感情のこもらない言葉、それでもひたすらに生きようとする姿がよく伝わってきました。また母親役の田中美佐子も、障害を持つ母親の苦しみや喜びを好演していました。余談ですが劇中に歌われた「にんげんっていいな」は、最近僕が書いた脚本「またあした」にも使っていたので、ちょっとびっくりしてしまいました。
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