NHK土曜ドラマスペシャル「キルトの家」 前編を観て
いつのころからか、住宅街にあるアパートが火事になったニュースがあるたびに、その犠牲者の多くが逃げ遅れた一人暮らしの老人であることに気づき心を痛めていました。またそうでなくとも孤独死という悲しい現実があります。この物語は古い団地に住む独居老人たちと、たぶん東日本大震災で被災し、東京のこの団地に移り住んできた若夫婦の交わりを描いていきます。山田太一作。
団地の自治会では、一人暮らしの老人に「助け合い」の手を差しのべようとします。しかし、老人にかかわる余裕のない家庭が多く、しかたなく始めた、老人のために仕事をしたら250円を支払うという制度もうまく機能していません。その中で、自治会の助け合いを拒み、自分たちで寄り添うように毎日を暮らしている老人たちがいました。それが「キルトの家」につどう人たちです。
彼らはお互いの過去もよくわからぬままに、誰の世話になることなく、支え合って生活しているのです。そこには、年寄りは人から助けられなければならない弱い存在だとか、見た目に年寄りは誰も同じ年寄りだとかという考えはありません。しかし、その気むずかしさや頑迷さが奇異に映り、自治会の人たちには理解してもらえないのです。
老人も老人であるまえに人であり、もちろん自尊心や誇りがあると思います。シルバー人材センターのように社会に貢献でき役立ち感に満ちれば、幸せな生き方もできるであろうことは想像に難くありません。それゆえに「キルトの家」の老人たちの自ら若者に触れあおうとする姿勢は、若者にとっても新鮮であり、学ぶことがあり、互いに高め合うことになるのだと感じました。ただそれも元気だからこそできる話で、もし寝たきりや「認知症」で介護が必要になったときは、どうするのかという問題は必ず残ります。
若夫婦の夫役の三浦貴大。主役級としては初めての出演と思うのですが、心情のよく伝わる演技でした。その妻役の杏。しっかりした前向きな女性の姿に好感を持ちました。
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