音楽朗読劇「モリー先生との火曜日」 29日 兵庫公演を観て
演者は3人の俳優と二人の演奏者だけの音楽朗読劇、というシンプルだけど、それだけにじっくりと心に染みいる感動的な舞台になっていました。
ALSという難病に侵されたモリー先生のもとに、教え子のミッチ・アルボムが訪れ、毎週火曜日に2人だけの授業が始まります。それは死を前にしたモリー先生の最後の授業でもありました。授業のテーマは「生きる意味」について。筋力が衰え最後には呼吸も止まり死に至ることを覚悟しながら、モリー先生は自分の考えを人に語り残すことが自分の使命であるかのように、幸福感に満たされながらゆったりと話していきます。
死を前にするとすべてのものが変わると言われます。窓から見える何気ない風景もモリー先生にとっては愛しく思われます。死に方を学ぶということは、生き方を学ぶことと言われました。生きていることが当たり前と思っている時には、何を大事にして生きなければならないか気付いていないのです。「人生で一番大切なことは何か」、それは「人に愛をあたえ、人からの愛を受けとめること」であると。地位や金のためでなく、身近な者に自分がどれだけつくし役だったかにかかっているのです。今読んでいるフランクルの「それでも人生にイエスと言おう」の中でも、人生にどんな意味があるか問うのではなく、人生に何ができるのか問うことが大切と書かれていましたが、まさにその答えが生きる意味なんだろうと思えてしまいます。
波の話も感動的でした。いつか砕け散る小さな波も海の一部であると。そう思えば、いつか消える自分の命さえも宇宙の一部でもあるのです。生きることも死ぬこともひとつのことであり、死ぬことの恐れや不安を十分に感じ取った後はそれを捨てれば良い、というモリー先生の最後の言葉には、これからもガンを抱えて生きなければならない自分にとっては、救いの言葉になりました。
出演者 光枝明彦 吉原光夫 土居祐子。ピアノ 小原孝 バイオリン 真部裕。


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