映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」を観て
35年間無事故・無違反で仕事には何のほころびもなかった地方鉄道の運転手が、定年退職を目前にして、家庭で妻との関係にほころびをきたしてしまいます。
前作のRAILWAYS1では、49歳にして電車の運転手になる夢を追い求めた男の物語でしたが、今回は仕事を果たし終えた夫と、これを機会に新たな生き甲斐を求めようとする妻とのせめぎあいを描いています。
退職を契機に熟年離婚にいたってしまう夫婦があることは、周知の通りですが、この作品もその問題を象徴的に描いているように思えました。問題は妻が自分と同じ気持ちであるという夫の思い込みにあるようです。
退職すれば、妻の慰労をかねてゆっくり旅行でもと、自分の思いだけでことを進めてしまう夫に対し、仕事がある間はサポートすることが妻の努めと耐えてきても、これからは私の人生好きにさせてもらいたいという妻の本音との摩擦です。夫はこれまで生活の糧を培ってきたというプライドから、自分の思い通りの生活を退職後も続けられるであろう、という「幻想」を抱いているのに対し、自分の時間をようやく持てた妻にはそんな夫の勝手は許されないのです。
それ故に妻の思いにようやく夫が気付いた時、もう一度夫婦の絆をとりもどすことができたのでした。
「これからが長いぞ」というセリフがありましたが、高齢化社会になって男女ともに「生き直し」の考えを持たないといけないようですね。もう一度、自分を活かす新たな「仕事」を求めて人生をリニューアルさせるのです。そのためには、退職してから考えるのでは遅い。自分のやりたいことは何か、自分らしく生きるとは何かを夫婦でよく話し合うことが大切ではないでしょうか。
ベテラン運転手として、プロとして、伝えるべきことはしっかり若い後輩たちに伝え、そして迎えた退職の日の最後の運転。同僚と妻に見送られて、様々な思いが去来したことでしょう。自分も同年配の職業人として、本当に涙を流さずにはおれませんでした。 僕も最後までなすべきことをしっかりと果たし、次の世代にバトンを渡そうと思いました。
白い立山を背景に走る富山電鉄の電車の姿がとても美しかったです。
あの青年スターであった三浦友和が、こんな定年退職の主人公になるのですから、時代は変わりましたね。ひきつがれる役の中尾明慶。ちょっと頼りないけど、夢を追い求める若者の姿に好感を持てました。妻役の余貴美子。そのパワフルさに感服しました。久し振りにお会いした仁科亜季子。危なさを感じさせる演技にドキドキしました。他に小池栄子、塚本高史、吉行和子らが出演。
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