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2011年11月

2011年11月28日 (月)

「紅葉を求めて万葉の旅」 その3 錦の里・「正暦寺」

 紅葉を求めて万葉の旅、最後は「正暦寺」を訪れました。

 曇り空の平日ということで、それほど人は多くないだろうと思っていましたが、恐るべし紅葉シーズンの正暦寺。近鉄奈良駅のバスターミナルから正暦寺行きの臨時バスが出るというので、ゆっくり乗り場に向かうとすでにそこは長蛇の列。

 ほどなくしてバスが来たと思ったら、なんと小型バスで、始発のJR奈良駅からの乗客ですでに満員。前の方に並んでいた人は、なんとかぎゅうぎゅうになりながらも乗り込まれましたが、僕を始めあとの客はほとんど積み残されてしまいました。どうなることかと気をもんでいたら、また臨時の臨時バス!が出るということになり、30分待ってようやく来たバスに乗り込めました。

 バスが国道をそれると、山に向かってどんどん細い道になり、対向もままならない先に目的地の「正暦寺」がありました。バスを降りると谷川にそった道をしばらく登っていきます。山の空気がひんやりとからだに感じられ、冬枯れの前の一瞬の木々の輝きがそこにはありました。

 まず向かったところが、福寿院客殿。狩野派の絵師によって描かれた欄間の先に見える庭は、それはまさに柱の額におさまった屏風絵のような美しさでした。背景に深い緑に包まれた山々があり、その前景に龍のようにうねる古木の松、そして燃え立つような紅葉。これは確かに苦労してでも来るべき値打ちのある風景だと思いました。

 名画を満喫したような気分で、名残惜しくも福寿院を辞したあとは、次に本殿を訪れました。石段を登り詰めたところに立つ本殿は、名付けられた「錦の里」の主人として厳かに佇んでおられるようでした。「正暦寺」、また何度も訪れてみたいお寺になりました。

今回、紅葉を求めて万葉の旅で訪れた三つの寺、「長岳寺」「長谷寺」「正暦寺」、三つとも真言宗のお寺なんですね。世俗を離れ修行のため籠もる山にある寺なので、紅葉の美しい場所になるのでしょうか。

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2011年11月27日 (日)

祝・ゆるキャラグランプリ2011 「素敵なくまモンになりまして」 

 今年の春に開通したての九州新幹線で、熊本を旅行して以来ファンとなり、心から応援していた「くまモン」がついに「ゆるキャラグランプリ2011」で、見事にグランプリの座を勝ち取ることができました。これで毎日あきらめずに投票し続けたかいがありました。おめでとう、くまモン。きっと熊本県民を始め、全国のくまモンファンも大喜びのことと思います。愛媛の「バリィさん」とのデッドヒート、突如表れた西国分寺の「にしこくん」の不正投票問題など数々の苦難を乗り越えて、2位に4万票差以上をつけての優勝は、涙さえも禁じえません。たかがゆるキャラ、されどゆるキャラ、携帯ストラップにつり捧げた君の笑顔を見るたびに、遠く熊本を思い、なんど励まされたことか。

 

 

 グランプリのお祝いをかねて、僕が作ったくまモン主演の演劇台本を贈りたいと思います。

 

                   素敵な「くまモン」になりまして
                  

 

   幕が開く
大阪のとある中学校
女子中学生4人が、文化祭で発表するダンスの練習を体育館でしている
AKB48の「ヘビーローテーション」がかかっている

 4人「アイウォンチュー、アイラビュー、アイニーズュー、頭の中 ガンガン 鳴ってる  MUSIC ヘビーローテーション」

 

アサミ「みんな、ちょっとストップ」
音楽止まる

 ハルカ「なんやのアサミ、これからノリノリになってくるところやのに」

 アサミ「ごめん、ごめんハルカ。ちょっと変やねん」

ミドリ「変て、ダンスが合ってないってこと」

アサミ「ちがう、ちがう。ダンスはバッチリやねんけど」

ユキエ「ごめん、やっぱりうちが歌はずしてるんやろ」

アサミ「うん、それもあるねんけど」

ユキエ「そうなんや・・・。みんなに迷惑かけるから、うち、もう口パクにするわ」

ハルカ「何ゆうてんの、ユキエがクチパクやったら、私なんか水面金魚のパクパクもええとこになるやん」
       ハルカ、金魚の物まねでパクパク口をあける

 

アサミ「もう違うって。歌はこれから練習したらすむことや。私が言いたいのはこのCDから変な声が聞こえてくる気がするねん」

 ミドリ「やめてや、アサミ、そんな心霊写真みたいなこと言うの」

アサミ「ミドリ、あんたら、聞こえへんか。うちだけかな」

ハルカ「そんなん聞こえへんよ、なあ」

ミドリ「全然。そんなん、気のせいやって。アサミ、最近疲れ気味やし」

 アサミ「そう言われたら、そうかもしれんな」

ミドリ「文化祭、明日やで。もう時間ないねんから、しょうもないことゆうてんと早よ練習しよう」

 アサミ「そうやな、忘れとった。よし、もう一回頭からいくで」
       音楽がなり始めて、4人踊り出す
4人「アイウォンチュー、アイラビュー、アイニーズュー、頭の中 ガンガン 鳴ってる   MUSIC ヘビーローテーション」
間奏がしだいに小さくなって別の声が大きくなって聞こえてくる

 男の声「あんたがた どこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ くまもとどこさ せんばさ せんばやまには くまそがおってさ、それをりょうしが てっぽでうってさ」

 ユキエ「キャー」

 ハルカ「何、今の声」

 ミドリ「確かに、ウチも聞いた」

アサミ「やっぱり、空耳でも気のせいでもなかったんや」

 ハルカ「ということは、今の声はユ、ウ、 レ、イっていうこと」
      4人、思わず「きゃー」 と抱き合う
      そこへまた声が聞こえる  悲しそうな歌声

 「あんたがた どこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ くまもとどこさ せんばさ せんばやまには くまそがおってさ、それをりょうしが てっぽでうってさ にてさ やいてさ」
 途中で上手から毛がぼうぼうの熊のようなクマソが、歌をうたいながら登場

 クマソ「みなさん、こんにちは」
4人「キャー、でたぁーお化けぇ」
4人、腰を抜かさんばかりに、下手へ走って去ろうとする

 クマソ「みんなお願い、逃げないで、僕お化けじゃないから」
   ハルカ、そうっと振り返りながら

 ハルカ「お化けじゃなかったら、思いっきり妖怪、ゾンビ、はたまた宇宙人?」

 クマソ「妖怪でもないし、ゾンビ、はたまた宇宙人でも決してありません」

ミドリ「あっわかった、あんた3組の三谷君だ。文化祭に出る、出ると聞いてたけど、そんなカッコウで出るなんて。もう、驚かさないでよ」

 クマソ「三谷君って、誰?知らないよ」

 ミドリ「三谷君じゃないなら、アサミ、こいつきっと不審者よ。早く職員室へ行って 先生呼びに行きましょう」

 アサミ「ミドリ、ちょっと待って。この、人かなんかわからないけど、悪者ではない気がする」

ハルカ「何言ってるの、新手の着ぐるみ不審者に決まってるって。早くしないとどんな目にあうかわかったものじゃない」
        その時、クマソが突然号泣しだす。

 ユキエ「うわぁ、泣き出したよ」
       ユキエ、クマソのそばに近寄ろうとする

 ミドリ「だめよ、そんな手にのつちゃだめ。弱みをみせておいて、襲いかかるのがこいつらの手なんだから」
       ユキエ思わず、引き下がる
       悲しい鳴き声がいっそう大きくなる

 アサミ「もう泣かないで、あなたはだれなの?」

ミドリ「アサミ、もういいから、ほっといてにげましょう」

アサミ「どこから来たの、名前は」

クマソ、ようやく顔をあげ泣きじゃくりながら
クマソ「ボクはクマソ、熊本からきました。みんなにお願いがあるんです」

 ハルカ「クマソに、熊本。クマばっかりやな。どうりでそんなクマみたいな着ぐるみを着てるやな」

クマソ「いえいえ、着ぐるみではありません。これはボクの地毛ですから」
       クマソ、自分の毛をひっぱって痛そうにする

アサミ「それじゃ、いったいあなたは」

クマソ「ぼくは、クマの化身なんです」

ミドリ「化身って、やっぱりお化けのたぐいやないの」

クマソ「ボクは5千年まえから、クマの魂となってずっと熊本の船場山に住んでいるんです」

ミドリ「ようわからへんけど、あんたはええもんなん、わるもんなん?」

アサミ「そんな聞き方したら失礼でしょ。ところであなたは、生き物なの化け物なの」

ミドリ「そっちの方がきついって」

クマソ「生き物というより、自然の霊のようなものです。といっても幽霊ではありませんよ。それどころか、ずっと熊本のクマたちを守り続けてきたのですから」

ハルカ「そうなんや。そしたらええ人なんや」

ミドリ「不審者やなんて言って、さっきはごめんなさい」

クマソ「いえいえ、こんなかっこですから、仕方がありません」

ユキエ「霊になるんやったら、クマのプーさんとかテデイベアとか、いくらでも可愛くなれたんとちゃうかな」

クマソ「それが、そうもいかなくて、5千年ずっとこのかっこうで。ときどき猟師にみつかって、鉄砲で撃たれることも」
       クマソ、うなだれる

 ハルカ「わかった。それがさっきの歌なのね。どうりで悲しそうな歌だと思ったわ」

アサミ「確か、クマソさん、さっきお願いがあるとか言ってなかった?」

 クマソ「よくぞ聞いて下さいました。ちょっとボクの話を聞いてください」
                   暗転

 

                   照明がつく
                   ここは熊本の山中  真ん中に満開の大きな桜の木
                   クマA クマB  クマCが話している

 

クマA「さっき、つばめがツイッターしていきよったんじゃが」

 クマB「つばめ?、あぁスワローズか。今年はヤクルト、もうちょっとのところで優勝のがしよって惜しかったな。それから、阪神。ちょっとがっかりやな。来年は阪神ベアーズにしたらもっと強なるとおもうんじゃけどな」

クマA「あのななんの話や。プロ野球の話と違うって。さっき伝令のつばめがツィッターしてくれたんや」

クマB「何、そのツイッターというのは」

クマC「今、人間界ではやっているつぶやきのことや。おまえ知らんのか。野多首相もやってるらしい。もっとも『こんにちは 野多昭彦です』で止まってるらしいけど」クマB「それで、つばめは何と」

クマA「それが大変なんじゃ」

クマB「また、猟師がくるのか」

クマA「猟師どころの話じゃないわ」

クマC「どうしたんじゃ」

クマA「それがやな」
      そこへ上手からクマソ登場

 クマソ「騒がしいけど、どうかしましたか?」

 クマA「ああ、これはクマソ様、ご機嫌うるわしゅう」

 クマソ「あいさつはもういいから、何があったか話してごらん」

 クマA「それがつばめ、ヤクルトとは違いますぞ。」

 クマソ「わかっております。我が伝令ツバメのスワちゃんですね」

 クマA「スワちゃん?、そんな名前でしたか。そのスワちゃんがさっきやってきてささやいてくれました」

 クマソ「ほう、スワちゃんが、ツイッターをしてくれたのか。そしてなんと」

 クマA「それが、大変なことで」

 クマソ「大変はいいから、早く話してください」

クマA「はい、スワ、いやあやつの話では人間たちが、この船場山を削って、とんでもなく速い乗り物を走らせるというのです」

クマソ「速い乗り物?」

クマA「人間たちの話では、九州新幹線といものらしいです」

クマソ「新幹線、知っています。あの時速300キロで走る鉄の箱のことですね。とうとうここまで来てしまいましたか」

 クマA「そうなんでさぁ。ついにそれがこの九州を縦断することになって、ここ船場山が通り道に選ばれたそうなんです」

クマC「それで、もしそれが作られたらワイらどうなるんで」

クマソ「たぶんこれまでの人間のやり方から考えると、このあたりの山に穴をあけて、そこに鉄の道を通すのだと思います。そうなったら」

 クマB「そうなったら」

 クマソ「私たちは住みかを失ってしまいます。今のうちに里の近くに移り住むしかないでしょうね」

 クマC「そんなのワイはいやだ。ここを出るのはいやだ」
       クマC泣き出す

 クマソ「ボクも、ここを出たくはありません。しかし、人間の力には逆らえません。早くしないと人間がここに来てしまう」

 クマA「クマソ様、人間がきたら追い返してしまいましょうや。この山は自分たちで守りましょうや」

 クマB「俺も戦う」

 クマC「こうなっちたらワイも」

 クマソ「あなた方の気持ちはよーくわかります。でも、今は何千年も続いた熊一族の命を守ることが大切です。ここは、耐えてボクの言うことを聞いてください」
        クマたち泣き出す

 クマA「クマソ様、われわれをいつもお守り下さりありがとうございます。なぁ、みんな、ここはご先祖様や子孫のためにも山を下りようじゃないか」

クマソ「よくぞ言ってくれました。ではさっそく引っ越しの準備をしましょう。」

クマB「クマソ様、この我らの大サクラはどうしましょう」

クマソ「このままほっといても、人間に切られてしまうだけです。いっそのこと我らの手でほうむってやりましょう」

クマA「クマソ様、これだけの花を咲かせたサクラがあまりにもかわいそう。             せめて、花が散るまで待ってやりましょう」

 クマソ「いや、そんな時間はありません。(考えてから)そうだ、この枝を1本折って、持って行きましょう。どこかのサクラの木に接ぎ木してやったら、このサクラの花の魂は生きのびられるかもしれません」

 クマA「わかりゃした。それではこのあたりの太いところを折って、持って行きやしょう」

クマA、丁寧に枝を折って懐にいれる

クマソ「じゃあ、みんな出発の用意にかかろう。スパちゃんも一緒にな」
        クマソ、空をみあげてつばめを呼ぶ
    全員、下手へと去る

 

        暗転

 

        照明がつく
        ここは町里にちかい山のふもと

 

クマC「ずいぶん下まで、降りてきちまったな」

クマB「オラ、腹が減った」

クマA「クマソ様、食べ物はどうしましょう」

クマC「いっそのこと、人間の畑からかっぱらってやろうぜ」

クマB「それはいい、グッドアイデア。こうなったのも人間のせいだからな」

クマソ「ダメ、それはダメです。みつかったら、殺されてしまいます。食料はまた山に入ってとりにいきましょう」

クマB「えー、動いたらまた腹減るよ」

クマソ「冬眠するまでの辛抱です。それまで、なんとか生きのびましょう」
        その時上手から武器を持った村人登場A B  C D

 村人A「いたいた、今度こそ生け捕りにしてやろうぜ」

 村人B「いつも、畑を荒らしやがって、このクマのガキめ」

 村人C「おいおい、へんなクマがいるぜ。あいつはなんだい」

 村人D「えらい毛むくじゃらの、ムックみてーなクマだな。かまうことなんかいらねぇから、逃げねぇうちにやってしまおうぜ」

 全員「おう」
      村人、クマたちに襲いかかる
      クマたち必死で抵抗し、逃げ回る
      しばらく乱闘シーン

 

       暗転
       照明がつく
       洞くつの中
      怪我をしたクマたちが横たわっている

クマC「腹減ったよー、痛いよー、腹減ったよー、痛いよー」

クマB「しかし、人間たち、とんでも無いことしゃがって」

 クマA「くそっー、なんで俺たちだけがこんなひどい目に遭わないと行けないかですかい」

クマB「こんなことになるんだったら、いっそ船場山で人間たちと戦って、死ぬ方がまだましというもんだ」

 クマソ「みんなすまない。ボクに力がないばかりに、こんなひどい目にあわせてしまって」       

クマソ泣き出す

 クマA「クマソ様のせいでは決してありません。みんなあの憎い人間たちのせいで」

 クマC「その通りでさぁ。もうワイは人間を許しませんで。痛てて」

 クマA「おい、だいじょうぶか。クマソ様、いったいこれからどうします?」

 クマソ「そうだね。しばらく、この洞くつで身をかくして、夜になったら交代で食料を探すことにしよう」
 

クマB「しかし、それもいつまで持つか。そのうち、人間たちに見つかって、クマ鍋の具にされるのがオチで」

 クマC「クマ鍋、えーっ。まだ死にたくないよ」

 クマソ「だいじょうぶ。ボクに考えがある」

 クマA「考え?」

 クマソ「人間たちと共に生きる方法を考えるんです」

 クマB、吹き出して「人間と共に生きる、寝言を言っちゃこまりますよ。いくらクマソ様といえども、その言葉はいただけませんや」

 クマA「これ、何をいうか。クマソ様に失礼じゃぞ」

 クマB「住みかを追われ、これだけ痛めつけられて、これでもまだ人間と仲良くやれというですかい。笑い死にしそうですわい」

 クマA「これ、もうやめんか」

 クマソ「爺、もういい」

 クマA「爺って、お言葉ですが、まだクマ盛りの年頃で、決して爺さんではありませんの念のために」
 

クマソ「これは失礼。そのもの言いが、どうも爺ぽくって。」

 クマA「ふん、それで、どうやって人間と仲良くするのですか」

クマソ「クマという動物は決して、人間には嫌われてはいない。その証拠にクマの可愛いキャラクターは町にあふれています。小さい子どものいる家では、必ずひとつはクマさんのぬいぐるみか、クマさんの絵本があるはず。」

 クマC「そういえば、そうかも」

 クマソ「クマは人間に愛されているのです。しかし、それはファンタジーの世界であって、現実には、このように人間とぶつかってばかり。それで」
        間

 クマソ「それで、現実の世界に愛されるクマになって、人間の前に登場してやるんですよ」

 クマA「それはわかりますが、どうやって?」

 クマソ「ボクが、ユルキャラになって人間の前に現れてやるんです」
クマたち全員吹き出す

 クマB「そのかっこうで」

 クマC「ゆるキャラになる」

 クマA「それは、あまりにも身の程知らずな、いや無謀なお考えで」

 クマソ「確かにこのままでは、自分でも無理があると思っています。それで少しイメージチェンジをはかろうかと」

 クマA「イメージチェンジ、それはとても無理かと」

 クマソ「いや、やってみないとわかりませんよ。奈良のせんと君の例もあるし、やってみたら以外と受けるかもしれません」

 クマB「とうやって、イメチェンするんで」

 クマソ「それには、人間の力を借りようと思います。大阪にいけば、世話焼きのおばちゃんたちがたくさんいるらしいから、一度、その大阪のおばちちゃんたちに相談してみようと」

 クマC「友達が大阪に住んでるんで、知ってるけど、大阪のおばちゃんにかかったら、クマじゃなくて、ヒョウ柄にされてしまいますぜ」

 クマソ「ヒョウ柄はいけませんね。そうしたらいっそのこと、おばちゃん予備軍の女子中学生に頼んでみたら、もっと可愛いキャラにしてくれるかもしれません」

 クマA「それはそうかもしれませんが、大阪の女子中学生がすんなりクマソ様に会ってくれるでしょうか。不審者やいうて、撃ち殺されるかもしれませんよ」

 クマソ「もうこうなったら、命懸けでやるしかありません。どうかみんな、ボクを信じて 待っていてください」

全員「クマソさまー」
     クマソにすがりつく
                暗転
                もとの大阪の中学校にもどる

 

ハルカ「そうやったんや」

 ミドリ「あんまり長い話やったんで、自分のセリフ忘れそうになっちたわ」

 ユキエ「クマソさんたち、かわいそう」

 アサミ「話はよくわかりました。それで私たちにお願いというのは」

クマソ「はい、人間と仲良くなるために、ボクを愛されるゆるキャラにしてほしいんです」

 ミドリ「うーん、つまりクマソさんをプロデュースしたらええわけやね」

クマソ「そっ、そうです。なんとか、よろしくお願いします」

ハルカ「といわれても、これではどう見てもエイリアンやしな」

 アサミ「よし、みんなやろっ。これもクマ助け。人間とクマが仲良く生きていくために、うちらにできることやってみようよ」

 ミドリ「うん、わかった。おもしろそうやし、やってみよ。大阪の女子中生のパワーをみせてやろうや」

 ユキエ「私もやる」

 アサミ「そしたら、話は決まった。全員でクマソさん、ゆるキャラ化作戦開始や」

 ミドリ「まずは手始めに、イメージ作りやな」

 アサミ「よし、みんなで可愛いキャラを考えてみよう」

 クマソ「ありがとう、ありがとう。よろしくお願いします」

         4人頭をつきあわせて、なにやら相談して絵を描き始める
         その間明るいBGM

 ミドリ「じゃーん、できたこれでどう」
        ミドリ画用紙を見せる
         目がやたら大きい少女漫画のようなクマの絵が書かれている

 クマソ「うーん、ボクは男の子やし、もうちょっと強そうにしてくれませんか」

 ミドリ「強そうね、みんなもう一回や」
          また書き始める
          BGM
 

ミドリ「じゃーん、注文通りできたよ」
        今度は、人を襲いそうな感じになっている

 クマソ「うーん、これでは人食い熊ですね。もう少し可愛く」

 ミドリ「可愛くね、わかった」
        また書き始める
          BGM

 ミドリ「もうこれ以上無理」
        ほっぺたが赤く、笑顔のくまになっている

 クマソ「全身が真っ黒なのが、気になるけど、でもこれでいい。みんなありがとう」

 ミドリ「熊だから、真っ黒でしょう。気に入ってくれたら、後は名前ね」

 ユキエ「クマソ君はどう」

 アサミ「ちょっとベタかな」

 ハルカ「くまゴンは、どう」

 アサミ「ちょっとイメージがちがうな」
 

ミドリ「それじゃ、くまモンがいいんじゃない。ドラえもんみたいでいけるかも」

クマソ「くまモンか、いいですね。それでいきましょう」

アサミ「次は、ヘヤーカットにメイクね。ユキエんち美容院でしょ、こっそりクマソさ     ん連れて行きましょうよ」

ユキエ「まかしといて、今日はお休みで誰もいないから、大丈夫」

クマソ「みなさん、お手柔らかにお願いします」

          暗転
          しばらくして照明

 ミドリ「くまモン、誕生。みなさん拍手でお迎えください」
ユキエにつれられてくまモンにになったクマソと登場

ミドリ「めっちゃ、可愛いって」

ハルカ「ほんまや、これやったらグッズも売れること間違いなし」

ミドリ「どう感想は? クマソさんいや、くまモン」

クマソ「なんか、自分が自分でないみたいで」

ミドリ「何言ういるの、これからはゆるキャラらしく、愛想ふりまきや」

アサミ「ちょっと歩いてみよか」

クマソ「こうですか」
        まだクマのようにのし、のしと歩く

アサミ「それではダメね。みんなに手をふりながら、時々ウィンクもして、そしてスマル」

 クマソ「えー、ウインク、できるかな」
ぎこちなく手をふり、たいそうにウィンクする

 アサミ「まぁ、最初はこれでいいか」

クマソ「みなさん、ありがとう。なんとお礼をいったらいいか」

 ハルカ「礼をいうのはまだ早いよ。熊本に帰って、待ってるクマの仲間と一緒に人間の前にでるんでしょ」
 

クマソ「そうえでした、そうでした。早く帰ってやらないと。みなさん、それではこれ     でお別れです。皆さんのことはいつまでも忘れません。そして、もし良かったら熊本に遊びに来てくださいね」

 アサミ「九州新幹線にも乗ってみたいし、みんなで遊びに行くから、その時はナビよろしく」

 クマソ「わかりました。その時はクマのえさ場から、クマの住みか、そしてクマの墓場まで案内します」

ミドリ「クマはいいから、阿蘇山とか、天草のイルカウォッチングに連れて行ってよ。」クマソ「そうでした、みなさんはクマではありませんでしたね。つい親しくなってしまって。わかりました、どこへでも案内しますよ」

ユキエ「やったー、楽しみ、いきなり団子も食べて、馬肉コロッケも食べて、タイピーエンも食べて」

ハルカ「あんた、ダイエット中ちゃうかった」

ユキエ「まぁ、そのときはその時で」

ハルカ「もう、調子ええねんから」

アサミ「それでは、クマソさん、がんばって下さいね。私たちも応援してるから。きっとうまくいくよ」

 クマソ「はい、仲間のためにゆるキャラになりきります。ボクは正直言って、人間を信じることができなくなっていました。でもみなさんのおかげで、もう一度人間を信じてみようと思うようになりました。みていてください、必ずやりとげますから。それではまた会う日まで、お元気で」

 全員「さようなら、くまモン」

あんたがた どこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ くまもとどこさ せんばさ せんば  やまには くまそがおってさ、それがかわいいくまモンになってさ 笑ってさ 歌ってさ 楽しくってさっさ 

 

      元気に歌いながら退場

 

スクリーンに祝!九州新幹線ウェーブの動画
熊本駅通過の場面で、仲良く住民に囲まれた「くまモン」の姿がアップ
くまモン、笑顔で手を振っている

 

疾走する特急さくらの動画
アップすると、船場山のサクラの枝が飾られている

 

疾走する特急つばめの動画
アップするとつばめのスパちゃんがウィンクしている

 

どんどんカメラを引いていくと、空に七色の虹がかかっている

 

              幕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅葉を求めて万葉の旅 その2 初瀬・「長谷寺」

 紅葉を求めて万葉の旅、長岳寺から次に向かった先は「長谷寺」。春の桜の咲く頃に何度が訪れたことがありますが、今回は駅に張られた「長谷寺 もみじまつり」のポスターにひかれ、初めて秋の「長谷寺」を訪ねることにしました。
 
 

 近鉄桜井駅から二つ目の長谷寺駅で下車。ホームからは山深い里の風景が広がっているのがよくみえます。ここは初瀬川の流れに沿うように町並みが続く「初瀬」と呼ばれる地区。初瀬とは、清らかさと静寂さを重ね持つような素敵な語感ですね。その山間に佇むのが長谷寺です。

 駅から歩き始めた頃は人の気配も少なかったのですが、沿道にお土産物屋さんや名物の草餅が売られている店が数を増してくるにつれ、人通りも多くなり、ついに山門の前では前に進み難くなるほどの混雑になってきました。さすがに奈良の名刹だけのことはあります。見上げれば三色旗をつらねたような幕が張られた国宝の本堂と、大きく張り出した舞台が見え、いつもながらに荘厳なながめです。しかし、そこへ行き着きには、399段もしつらえた回廊を登らねばならず、そう簡単には御利益は得られないようです。

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 息を切らしようやく登り詰めた者でしか、本堂の舞台から見える見事なまでの景色は眺めることはできません。殊に今紅葉に包まれた山々の姿には、深い美しさを感じざるを得ませんでした。すぐ下に小さく見える赤い五重塔が、紅葉にさらにライトアップされ、あたかも自然と一緒に織りなす芸術作品のようでもありました。ちょうど本堂では結婚式がとり行われていて、幸せそうな花婿・花嫁の姿も紅葉に映えていっそう美しかったです。

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 舞台から見えた五重塔に近づくと、より紅葉が塔に重なり合い、日の光とあやなすその風景は今日のベストショットとなりました。

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 帰りには混雑する山門近くのお餅屋さんはパスをして、少し下の離れた場所にあった、おじいさんとおばあさん二人でされているお店で、草餅を買い求めました。空いていて買いやすいばかりか、ここは一つ90円でさっきの賑わうお店より10円安いのです。千円で100円おつりがあったので、さらにひとつ買って食べながら駅に向かいました。また来るときも、おじいちゃん、おばあちゃんお元気で草餅を売ってくださいね。

紅葉を求めて万葉の旅 その1 奈良・山辺の道 「長岳寺」

 天のキャンパスをどこまでも青い絵の具で塗りつぶしたような秋天に誘われ、見頃となった紅葉狩りに出かけました。ところで季語にもなっている秋天という言葉は、「秋の天皇賞」の意味もあるとか。しかし、ここはあくまでも晴れ渡った秋の空をさしています。 向かったのは奈良の「長岳寺」。若い頃、山辺の道を歩いたときに立ち寄った記憶がありますが、調べてみると紅葉スポットでもあることがわかり、出かけてみることにしました。

 近鉄桜井駅から、JR桜井線に乗り換えます。この路線、駅の案内を見ると、「万葉まほろば線」と書かれていて、その文学的な名前にロマンを感じてしまいましたが、沿線の風情は昔のままで、ワンマン2両編成のローカル電車がのどかに走っていきます。そして長岳寺の最寄り駅である「柳本駅」で下車。一カ所しか開かないドアからホームに降り立つと、色とりどりに包まれた笠置山地が広がっていました。

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 さっそくその裾野にある「長岳寺」を目指します。一緒に降りた人もわずかで、持ってきた地図にある柳本商店街を東に向かいます。この商店街、ほとんど開いているお店らしいものは無く、人影も無い道を温かい陽だけを頼りに歩を進めていきます。それでも、軒先に干し柿がつるしてあったり、古い倉などをみつけると、さすが「万葉まほろば」を実感してしまいました。
 

 途中古墳に出会いました。「黒塚古墳」です。コンパクトで前方後円墳の形が横からでもはっきりとみてとれます。卑弥呼ゆかりの三角縁神獣鏡が発見されたことが有名で、邪馬台国論争はもう決着が着いたばかりに案内には「卑弥呼の里」とありました。

 
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 せっかく古代に思いをはせていたのもつかのま、道は国道169号線で分断され、その交通量の多さに現実に呼び戻されてしまいました。国道を横切るとすぐに「山辺の道」と合流します。たくさんのハイカーたちの姿が見られる中、ようやく「長岳寺」の楼門が見えてきました。さすがにここは観光客もそれなりにおられましたが、決して人の多さに酔うまでもいかず、着飾ることのない古刹の境内を静かに散策することができました。本堂に面した小さな池の周りが色づいていましたが、今年は天候のせいかくすんだような色の紅葉が多くて、期待していたほどではありませんでした。ただ1本の木だけが見事な赤に染められていて、それには魅入ってしまいました。青空に映えて光る紅葉が何とも言えず美しくて、何度も何度もシャッターを切り続けていました。時折響き渡る鐘楼の鐘の音が、いっそう旅情を誘ってくれるようでした。
 


 戻り着いた無人の柳本駅で、1時間に2本しかこない電車を待ちわびながら、観てきた紅葉を思い浮かべ、ひとりおにぎりをぱくつくことも、かけがえのない瞬間のようにも思えたひとときでした。

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2011年11月20日 (日)

映画「アントキノイノチ」を観て

 この映画には「遺品整理業者」というのが登場します。普通亡くなった人の遺品はその家族ですることが当然だと思われますが、「無縁社会」といわれるこの時代においては、孤独死した者の遺品の引き取りを拒否する遺族もあらわれ、すべての遺品の処分を業者によって執り行われる様が描かれていました。ただ機械的にことを運ぶのではなく、故人の思いを尊重し、真摯に遺品に向き合う姿には感動しました。まさに「天国への引っ越し屋さん」です。

 一人暮らしをしていた部屋には、確かに人が生きていた証としての数々の物が残され、その人が見ていたであろう風景がありました。考えれば今、僕の目の前にある本や使い込んだ机も自分がいなくなればすべて、持ち主を失った「遺品」に名を変えてしまうことになります。そう思えば自分が今いるからこそ、これらの物が目の前にあるわけで、その意味ではひとつひとつがかけがえのないものに思えてしまいます。ただ見られて恥ずかしい物は、できるだけ先に処分した方がいいかもしれません。

 この映画で描かれているのは、決してその物の話ではありません。「死んでいくときは一人だけど、生きていくときには人とのかかわりがいる」という言葉が出てきましたが、まさに人と人とのつながりの話です。それも命のつながりです。友人を二人も殺したと悩む永島杏平、死んでいこうとする者を誰も見ているだけで誰も声さえかけなかったと、心を病んでしまいます。また高校時代に忌まわしい出来事で妊娠した久保田ゆきは、流産し失った命をひきずりながら生きています。人とのかかわりに心を閉ざし、つらい思いをした二人が出会えたことで、ふたたび人と人との糸が結ばれていくのです。そして「あのときになくなった命も、あのときなくならなかった命も、みんな今ある自分につながっている」と、二人が気づくことで、生きる元気をとりもどしていきます。同じ命を持って生きている者同士、本当に声を掛け合えるならば、まさに「元気ですかぁ」になるんでしょうね。

 いきなり裸身で登場した岡田将生。吃音で自分をうまく表現できない分、心にためた純粋さを引き出す演技がとても良かったです。一人で悲しみに耐えながら生きる姿が切なく感じさせた榮倉奈々。二人とも難しい役どころでしたが、見応えのあるところを見せてくれました。

キャラメルボックス2011クリスマスツアー「流星ワゴン」神戸公演 19日 昼の部を観て

 キャラメルの舞台で、自分も読んだことのある長編小説を舞台化した作品を観るのは、「容疑者Xの献身」に次いで今回が2度目ということになります。何れも原作には無い脚色を加えながらも、原作が持つ叙情性を損なうこと無く、2時間で完結させることができるのは、キャラメルならではの脚本力と演技力のなせる技だと思います。

 重松清の原作「流星ワゴン」を読んだのはもう10年ほど前になります。その時はこの世にはもういない人が登場することだけで、涙腺が弱くなってしまったことの印象の方が強かったのですが、今回キャラメルの舞台を観て、この作品が父と息子の物語であることがよくわかりました。人生に疲れ切った主人公永田一雄と、末期ガンの父忠雄、さらに永田一雄と受験に失敗し引きこもる息子広樹、そして交通事故で亡くなった橋本義明とその息子健太の3組の物語です。

 登場する3人の父親は、3人ともその息子の愛し方が決して器用とは言えません。息子の幸せを強く願う気持ちには変わりは無いのですが、大事なところで子どもの気持ちに寄り添えてやれず、心を遠ざけてしまいます。この物語はそのもう変えることはできない過去の「大事なところ」をくぐり直すことで、自分の生き方、息子とのかかわりがどうであったかをひとつ、ひとつ気づかせていきます。さらに、それが生から死へ向かう(すでに死の世界にいる人も含めて)父親たちであるだけに、なおいっそう深い人間の悲しみを感じさせてくれます。

 振り返ればかずかずのとりかえしのつかない場面をいくつも通り越し、人間は後悔の連続の中で生きているのですね。僕もあのときなぜその一言が言えなかったのかと今でもくやむことが多々あります。できるなら橋本さんの「オデッセイ」に乗せてもらい、その時に帰ることができたならと思ってしまいます。

 それでもこの作品は、どんなひどい人生であろうと、そこには帰るべき「大事な場所」があることを教えてくれました。それが家族であると。そして悩み苦しみながらも、家族がはげましあい寄り添って生きていくことが本当の幸福なんだとあらためて感じさせてくれました。 

  病気が心配だった西川浩幸さんの元気なお姿を見ることができて、うれしかったです。今回も、キャラメルボックスのみなさん、感動的な舞台をありがとうございました。

2011年11月13日 (日)

音楽座ミュージカル「アイ・ラブ・坊っちゃん」大阪公演 12日 昼の部を観て

 夏目漱石の「坊っちゃん」、日本人なら誰もが一度は読んだことがあるかも知れません。まさにその愛すべき物語を、一粒で二度おいしくしたような舞台が「アイ・ラブ・坊っちゃん」です。「坊っちゃん」を執筆中の漱石先生の姿を描きながら、実際に同時並行で劇中劇として、「坊っちゃん」が演じられていくのですから。ミュージカルの歌もいれたら三度おいしい作品になるかもしれませんし、さらに生演奏が聞け、無料でパンフレットが配られ、最後に出演者に出口で見送られたりも入れたら、そのおいしさは幾たびになるか。

 好評だった処女作「我が輩は猫である」に続いて、「坊っちゃん」を執筆する漱石。しかし、漱石はその神経的症状のため妻・鏡子に「ハゲ」「チビ」とあたりつくす。それは彼の生育歴への負い目や、亡き兄嫁への恋慕、教え子・藤村操の自殺、自我との葛藤などがその背景として、描かれていきます。自らの使命を模索しなければならなかった明治という時代に、なぜ生きるのかという深い悩みがおそいきます。漱石の妄想の中のこととして、ドン・キホーテが登場するのも象徴的でした。

 そんな漱石の悩みを払拭するかのように、こだわりなく、自分の思うがままに生きようとする「坊っちゃん」が活躍していきます。正義感あふれる山嵐こと堀田先生と気脈を通じ、許すべからざる人物の赤シャツと対峙していくストーリーは、幾度見ても痛快そのもので、漱石の悩みとは裏腹の誰にでもわかりやすいキャラクターになっています。

 つまりそれは、漱石にとって「坊っちゃん」を書くことが、自分の精神を浄化させるカタルシスのような作用を及ぼしていくことに気づくのですね。結局、「坊っちゃん」が教師を辞めて、市電の運転手になったように、漱石自身、帝大教授の席を投げ捨てて「作家」の道を選ぶのです。それが「なぜ生きるのか」、ではなく「いかに生きるのか」という漱石のひとつの答えでした。そして、その中で妻・鏡子が自分を支える、どれほどかけがえのない存在であったかがわかるのです。

 生き方に悩む僕自身にとっても、地位や名誉ではなく自分の生きたいように生きる夏目漱石の決心に元気がもらえました。もらったパンフレットの中にあった言葉「成功とは、財産や名声や権力のことではなく、輝く瞳が幾つ自分の周りにあるかにきづくこと」を心にしまっておこうと思います。

 「坊っちゃん」と漱石の生き方を描く、一粒で二度おいしい舞台でしたが、ミュージカルとしても歌ありダンスあり、アクションあり、早変わりの舞台美術もありで大変楽しめる作品でした。漱石がペンを止める度に「坊ちゃん」の登場人物も動きを止めたり、原稿用紙をまるめたら、登場人物がまるまったりする様がおもしろかったです。音楽座のキャスト、スタッフの皆さん、素敵な舞台をありがとうございました。

2011年11月 6日 (日)

ドラマ「ステキな隠し撮り」を観て

 三谷幸喜「感謝祭」も大詰めとなり、WOWOWでも、過去の映画作品から最近の舞台まで一挙に放送され、特に3日に放送されたWOWOWの20周年記念ドラマ「Short cut」は、ワンカット・ワンシーンの斬新な映像で楽しむことができました。登場人物とテレビの中で時間を共有しているようで、カメラを止めないでみるドラマというのも緊張感があって面白かったです。
  
 

 そして昨日放送された「ステキな隠し撮り 完全無欠のコンシェルジュ」は、映画の番宣という性格もありましたが、映画と同じキャストでもう一度ドラマを楽しめるというのも、誰がどんな役で登場するのかという期待があって興味深く観ることができました。
 

 特におもしろかったのは三谷監督自身の登場場面ですね。ユーモアというのは自分の失敗を笑いものにするという鉄則をよく踏まえられていて、自分の映画の出来を気にする三谷さんそのままで、身体をはった演技も良かったですよ。
 それから竹内結子と深津絵里がふざけながら、ではなくてじゃれあいながら料理をつくる場面も、二人がかけあいのアドリブのような演技で笑えました。浅野和之さんは、「ベッジ・パードン」で見せた一人11役をそのままに、器用なところを今回も見せてくれました。そのほか死体役の木下隆行、コールガール役の戸田恵子、パンツまで脱いだ!写真家役の山本耕史、そして映画と同じ落武者ヘヤーが板についてきた盗撮魔の生瀬 勝久など、変な人のオンパレードで、よくもこれだけいろいろなキャラを思いつくもんだと感心してしまいました。
 

 そして何といっても、コンシェルジュ役の深津絵里。言葉になまりがあるホテルスタッフ(「ベッジ・パードン」のメイド役のパロディと思います)もなかなか味がありましたが、特に本音をぶちまける様が絶妙にうまかったです。三谷さんの舞台でだいぶ鍛えられたのでしょうね。先日の三谷さんと出られた番組で、脚本がおくれてできても次の日にはセリフを、完璧に覚えてくるという話をされていましたが、これがまさに「完全無欠のコメディエンヌ」という方がふさわしいと思いました。一皮むけたこれからの活躍も期待したいです。
 
 

 ドラマ中に使われた映画の主題曲でもある「ONCE IN A BLUE MOON」も心に残るいい歌だと思いました。 

嵐山 二つの大社めぐり

 毎年京都にある両親の墓参りの後、家族で付近を散策することになっています。今回アマチュア楽団に所属する娘が、「音楽の神様」がまつられているという「梅宮大社」にお参りしたいということで、阪急の嵐山線の松尾駅で下車し、有名な「松尾大社」の看板を背にして、逆の方向にある「梅宮大社」に向かいました。

 橋を渡り、桂川から見える少し色づき始めた嵐山の景色を楽しみながらしばらくいくと、住宅街にひっそりと佇む社殿がありました。あいにくの雨のせいもありましたが、境内には人影はなくただ幾匹かの可愛い猫が出迎えてくれました。あとで社務所によると猫の入った絵はがきが売られていたので、この神社のお使いか、マスコット的存在なのかもしれません。身体をなでてやると気持ちよさそうにしていました。

 
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  梅宮大社               

Resize0172_2 梅宮大社の猫

 縁起を読むと、音楽の神というのはまつられている仁明(ニンミョウ)天皇が横笛の名手ということだったことから、芸能に御利益があるということです。しっかりと音楽上達のお守りも売られていました。参拝後は神苑に足を運びました。入場料は500円でしたが、花の少ない季節ということで、袋一杯の「鯉のえさ」をいただき、中にある池でしばし群がりくる鯉たちにえさをまいてやりました。えさを求めるいじらしい鯉にも癒やされます。案内板には梅、あじさい、菖蒲などが書かれていて、シーズンにはきっときれいな場所だろうなと思いながら、ただ雨に煙り静寂さのみが漂う庭を後にしました。


 
 
Resize0180 松尾大社
 

 それでせっかく来たのだからと、「松尾大社」にもお参りしてきました。さすがにここは、雨にもかかわらず多くの参拝者の姿がみられ、ちょうど七五三できれいな着物を着飾った親子連れもありました。案内には貸衣装から写真まで、26250円のパックがあることも紹介されていましたが、社殿で巫女さんの舞う姿を眺めると、これもいいものだなと思ってしまいました。ここは山懐に抱かれた社殿だけあって、厳かな気分にひたることもできます。

 ここでも参拝後は「松風苑」と呼ばれる庭園を散策しました。梅宮大社とは違い、砂や石でつくりあげた庭園で、その人工美が美しかったです。たまたま国宝館にはいると係員の方が、聞くと為になりますよという感じでお話をしてくれました。庭に植えられている笹は、ササは古語で酒の意味もあることから、酒の守護神をまつるこの大社の庭に植えられているとのことでした。最初は神仏習合で、お寺にご神体がまつられていたことや、「摂社」というのはご親戚の神様をまつる神社であることなど、確かに聞いてためになるお話でした。そして最後に延命長寿、よみがえりの水といわれる「亀の井」の水で口をうるおしましたが、これで少し命が延びたでしょうか。

 酒の神様というのは、醸造業者だけの御利益(たくさんの酒樽や一升瓶がまつられていました)だけではなく、酒をたしな人の守護神でもあるそうですが、飲み過ぎの人まで面倒は見てくれないですよね。

 その他境内には酒造りの資料館などもあり、お土産に売られていた「酒まん」と、厄除けの神様ということで「病気平癒のお守り」を買い求めて帰路につきました。

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霊亀の滝                 

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曲水の庭

2011年11月 3日 (木)

般若寺から正倉院展へ

 毎年訪ねる正倉院展ですが、今年は金・土・日曜日と祝日は7時まで開館しているということで、混雑を避けるために夕方におとずれる作戦をとることにしました。

 それで自宅をゆるりと出て奈良には昼下がりに到着。夕方までの時間は、まず北に向かい、コスモスで有名な般若寺をめざしました。学園祭で旧奈良女子高等師範学校の旧館も公開していた奈良女子大学のそばを通り、ひなびた町並みをながめながら山の手へ上り詰めると、コスモスで包まれるかのような般若寺の楼門が見えてきました。花の盛りは少し過ぎたようで、訪れていた人もまばらではありましたが、石仏や十三重の塔にあざやかな彩りを添える風情は、秋桜の名にふさわしく美しかったです。しばらくはコスモスとともに風に揺られて、時を過ごしました。
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 その後、坂を下り東大寺「転害門」から、東大寺の境内に入りました。すでに時計は午後4時を過ぎていましたが、観光客の勢いは衰えてはいませんでした。そのころ一度様子ながめに正倉院展開催中の奈良国立博物館の方をうかがうと、まだまだ長蛇の列が。45分待ちのプラカードが目につきました。さすがに文化の日の正倉院展、一筋縄ではいきません。

 それで少し早かったのですが、先に夕食をとることに。食事場所は、最近東大寺前にオープンした「夢風ひろば」にしました。いつのまにできたのか、奈良をモチーフにしたレストランやお土産物屋さんが並んでいます。その中から、「ゐざさ」という柿の葉寿司を売りにしているお店で、定食を頂きました。この店、2階がレストランなのですが、ガラス窓に面したテーブルに座ると、ちょうど東大寺の大屋根をながめながら食事ができるようになっていました。夕日に染まる鴟尾を目にして食べる柿の葉寿司もなかなか美味でした。
 

 そしていよいよ、向かうは正倉院展。時間は5時半近くになっていましたが、しかし愕然とする風景が目に飛び込んできました。なんとまた新たな行列ができているではありませんか。一瞬我が目を疑いましたが、良く見るとこれも今年から始まった「オータムレイト」、つまり閉館1時間半前からは料金が安くなるチケットを買い求める行列でした。その行列をしりめに、今度はほとんど並ぶこともなく、そのまま館内に入ることができました。まずは作戦成功です。

 ただ中の混雑振りは、いつもの正倉院展と同じでした。やっぱりお目当ての宝物の前には人だかりです。さてその宝物ですが、今回は華麗な鏡や琵琶は無く、どちらかいうと地味な感じがしました。しかし、その中でも館内でさらに行列をつくらないと見れなかったほどの人気だったのが、「金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんそうのからたち)」です。刀子と呼ばれる小さな剣は何度もみましたが、水晶や色とりどりのガラスを埋め込んだ、これほど豪華な宝剣を間近に見るのは初めてです。権力者に独り占めされることなく、こうして万人にまみえ賞賛の溜息にさらされて、この宝物も幸せだと思いました。他に歴史の生き証人のよう「蘭奢待」、重さが50キロもある巨大な鏡、東大寺の在りし日の姿をうかがわせる地図などが目をひきました。見終えて外に出るともう奈良の町は暗闇の中に沈んでいました。

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