NHKドラマスペシャル「白洲次郎」 最終回 ~ラスプーチンの涙~
前2回放送以来の6ヶ月ぶりに「白洲次郎」と再会することができました。ただ、これまでの颯爽たる生き方に魅せられた者にとっては、最終回の策士のような老獪な雰囲気には、正直言って違和感を覚えてしまいました。
新聞記者からも、人脈をてこにして私利私欲をはかろうとするロシアの怪僧「ラスプーチン」になぞらえられていた白洲次郎。もちろんそれは、歳を重ねたことと、連合国側と丁々発止とやりあい中でどうしても手練手管に走らざるを得なかった事情があったことと思います。
しかしそれでも、傲慢と言われようが占領支配という屈辱の中で、なんとか日本の立場を貫こうとした彼の姿勢は少しも変わっていませんでした。憲法改正で日本案が連合国側に受け入れられないと分かっていても、自らの使命として日本案の正当性を主張していました。外国企業に広畑製鉄所の売却に走ったのも、日本の復興のためには金がいると考えたからに他なりません。
ただ、彼の行動力をみこんで最前線に送り込みながらも、いざというときになって「はしご」をはずしてしまうという政治の非情さに、白洲は利用されたようにも感じました。そうであっても、彼を突き動かしたのは「俺は日本のこやしになる。こやしは臭ければ臭いほど土壌をこやす」という言葉のように、戦争で死んだ者への責任として、泥をかぶってでも自分にできることはやるという思いがあったからに違いありません。
彼は日本人らしくない日本人と言われながらも、日本の独立のために生き抜いた誇り高い日本人だったと言えるのではないでしょうか。講和会議の吉田茂の演説原稿を日本語に直し、トイレットペーパーのような巻紙にしたのも、彼らしい筋の通し方だったと思いました。
次郎役の伊勢谷友介。世間に誤解されながらも、自分のプリンシプル(信念)に従って生きるという難しい役でしたが、味のある深い演技だったと思います。妻・正子役の中谷美紀。次郎と張り合うぐらいの自由奔放の姿を魅力的に演じていました。
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