「きらめく星座」 7日 大阪公演 を観て
昨日の「シラノ」に続いての観劇となりました。井上ひさしの戯曲の中で、戦争を主題とした作品のひとつ。そういう意味で当然ながら、先日観た「ムサシ」とは趣を異にしています。
とは言っても井上作品、観客を楽しませる仕込みには事を欠いていませんでした。まずはオープニング、暗闇でうごめく怪しい数々の光は出演者がつけた防毒面。エンディングでも使われますが戦争に向かう不安を象徴していたようです。それとなんと言っても歌。戦前にヒットした歌謡曲が、これも楽しい振りを付けられ歌われていきます。「きらめく星座」や「青空」のところでは、思わず客席から手拍子も入り、比較的多そうだった年配層が懐かしんでおられたようです。特に軍隊から脱走した兵を交えて、逮捕するためにやってきた憲兵が「青空」を歌いながら、一緒に踊る場面は傑作でした。
そのほか、戦争中ならではの話では、バケツやマッチを高価なもののようにありがたがったり、1個の卵をめぐっていかに料理するか論争する場面なとが面白かったです。全体的には太平洋戦争開戦前の2年間を畳みかけるようなセリフの中で、テンポよく展開されていきますが、井上ひさしのメッセージの多くは、レコード店「オデオン堂」に住まいする竹田慶介が語っていたセリフに込められていました。
「宇宙に地球のような水の惑星があることは奇跡なんです。その中で命が生まれ、人間まで至ったことは奇跡の連続で、こうして今私たちがいることも、何億何兆の奇跡の連続の結果なんです。こうして生きていることが奇跡なのだから、人間は生きていかなくてはならないのです」と。だから、人の命を奪うおろかな戦争はしてはならないのだと。まことしやかに美しい言葉で彩られた戦争の道義ほど、疑ってかからないといけない。そんな作者の思いが、キャストの熱演も加わりひしひしと伝わってくる舞台でした。
オデオン堂の主人の妻役で登場された、愛華みれさん。悪性リンパ腫で療養中と聞いていましたが、「追い詰められるほど明るくなる」お母さんを元気に演じられていました。最後に歌われた伸びやかな「青空」は、軍歌や人を鼓舞する勇ましいだけの歌がもてはやされる時代にあって、本当に明るく楽しくなれる歌の大事さを感じさせてもらえました。
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