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2009年5月30日 (土)

NHKドラマ「ツレがうつになりまして」第一回を観て

 かつて悪性腫瘍の手術後、次から次におそう痛みや不眠に絶望的な気分におちいり、たぶん薬のせいもあったでしょうが、壁一面に字が書いてあるように見えたり、外の景色を見ても家々が人の顔に見えたりした時がありました。そのとき担当のナースに「あなた、まじめすぎるんじゃない。ちょっと不良が入る方がいいよ」と言われました。このドラマを見てそれと同じ言葉を、原田泰造演じるツレと呼ばれる主人公にもかけてみたくなりました。

 すべて自分で抱え込み、仕事の失敗も人を責めないで自分のせいにする、几帳面でまじめで、自罰的な性格。それで順調にいけば、きっと一つのことをきっちりと成し遂げられるのでしょうが、個人がひとつ、ひとつ積み上げてきた積み木を一度に蹴倒してしまう非情さに満ちた現代社会では、誰でもが落とし穴にはまり変調を来すことが起こることは容易に想像できます。バリバリ働いてはずの自分がなぜこうなったんだろうと、涙を流す主人公を見て本当に心が痛みました。それとは逆に、藤原紀香演じるテンさんと呼ばれる奥さんの気ままな生活ぶりには笑ってしまいました。主婦失格とか、何をやってもだめとかそれなりに悩みを持ってられるようだけれど、それほど深刻になる気配もない。今まで頼り切りになっていた夫がウツになって、さぁこの妻はどうするか、次回からの展開が待たれます。「決して気分転換を図ろうとはしてはいけない。気分転換できなくて、余計に申し訳無いという気持ちが強くなるから」と風吹ジュン演じる精神科医の言葉にも、耳を傾けたいと思います。

 起き抜けでほとんどすっぴんのような藤原紀香を見て、いつもの華やかさとは違うコミカルでいて、どこか哀れさも感じる素顔の演技を感じました。人の良い性格から、自分を追い詰めてウツにおちいるまでの変化を原田泰造が、ていねいに演じていたと思います。

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