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2009年4月

2009年4月25日 (土)

キャラメルボックス2009スプリングツアー「容疑者Xの献身」 25日 神戸公演を観て 

 原作を読み、映画も観て、ついにキャラメルの舞台となった「容疑者Xの献身」を待ちかねて大雨の中、新神戸オリエンタル劇場に向かいました。

 原作の持つ雰囲気を壊すことなく上演するためか、いつものような踊りも歌もなく照明を落とした舞台で、何の代償を求めることなくただひたすら愛する人のために、自分の能力のすべてを捧げ尽くした天才数学者の思いにあらためて心打たれました。映画では堤真一でしたが、やはり原作のイメージとは異なる華のあるところが感情移入できませんでした。しかし、西山浩幸演じる石神はまさに風采のあがらない原作通りのキャラクターで、社会に受け入れられなかった悲しみと、自分の思いを伝えきれないまま、愛する人の幸せのためだけに生きようとする切なさが本当ににじみ出た素晴らしい演技でした。全体的にもよくまとまった構成で、出演者全員が交代で原作の朗読をするといのも秀逸でした。といってもシリアスなだけではなくキャラメルのお約束のギャグも散りばめられていて、特にウェイター、ウェイトレスの三段落ちは傑作でした。
 たぶん今年観るであろう演劇の上位に入るのは間違いないと思います。

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2009年4月19日 (日)

NHKドラマ「遙かなる絆」第1回~はじまりの河~を観て

 先日の新聞記事で、戦後生まれが4分の3を占めるようになったと書かれていました。「戦争を知らない子ども達」ばかりになっていく日本にあって、あの戦争で何があったのかを問いかけるドラマは、過去を忘れず未来に語り継いでいくための大事な「教材」でもあると思います。僕の亡き父も戦争中は、このドラマの舞台である牡丹江市にほど近い、虎頭要塞にこもりソ連軍と対峙していたそうです。ただ残念ながら、そこで何があったのかはほとんど聴くことができませんでした。しかしドラマ「遙かなる絆」では旧満州で残留孤児として生きてきた父との絆を、戦後生まれの娘が証していく姿を描いていきます。

 1回目では、ソ連軍の侵攻で逃げまどう開拓移民達が、鳴き声をソ連軍に聞かれるのを恐れて、橋の上から赤ちゃんを投げ落とす悲劇的な場面がありました。主人公の父も同じような運命をたどるはずが、奇跡的に近くの村に住む中国人女性にひきとられます。義母となった女性は、必死になって小さな子を守ろうとします。侵略してきた日本の軍人の子と知りながらも、我が子として育てようとする姿は胸がつまるものがありました。しかしなぜそこまでできたのか。顔がよく似た同じアジア人どうしだったからか、子どものかわいさ故か、反対に日本人なら中国人の子どもを同じように育てられたか、いろいろ考えさせられます。昨今取りざたされることもある中国に対して、改めて見直すことができるドラマだとも思います。

 主人公の女子大生城戸久枝を演じる鈴木杏。自分の知らなかった父の姿を追い求めようとする演技は、共感できるものがありました。義母役の付淑琴。貧しくとも深い愛情をかける演技が素晴らしかったです。優等生になっていくことを周りの者のようには喜ばず、ただ人として生きていくことに惜しみない慈しみを尽くした母の姿が、せつなく思えました。

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2009年4月12日 (日)

「桂三枝の笑ウインドウツアー 2009 ファイナル」大阪公演 12日

 前から5列目という桂三枝さんの目線を感じられるような席で、創作落語を楽しむことができました。髪の毛はだいぶ白くなられましたが、関西落語界の重鎮として見事な語り口と間の取り方で、演目の「大阪ルネッサンス」などは、一人芝居か講談かもう落語の世界をつきぬけたような感もありました。

 最初の演目が「宿題」。息子の塾で出された算数の宿題に、右往左往する父親のお話。つるかめ算の問題に「こんなことやっても絶対役だたん。俺はいまだかつて、つるとかめの数を数えたことがない」と、問題の世界に現実の話を持ち込む父親の姿がおかしい。観客の共感をさそうところがうまいですね。京大卒の会社の部下から解法を聞くのですが、それもイメージがつかめず四苦八苦。教えてもらった解き方を、息子にトンチンカンに教えてしまうところがあれば、もっとおもしろかったように思うのですが、そうしなかったのはたぶん、それでは古典落語風になってしまうから避けられたのでしょうか。

 続いて1時間を超す長編落語となる「大阪ルネッサンス」。言語統一令が発令された2xxx年の大阪、大阪弁を使った者はただちに言語警察により検挙されていく。大阪弁しかしゃべれない天ぷらやの主人がついに逮捕されるが、留置場で知り合ったレジスタンスの活動家に頼まれて・・・・。落語を聞いて涙を流したのは初めてです。「大阪弁ほど表現豊かで人情のある言葉はない、世界一の言葉や」と訴える天ぷらやの主人。ほんとにそうですよね。関西の地盤沈下や大阪の学力低下ばかりが取りざたされますが、大阪には他にはないええとこいっぱいありまっせ!と、大阪人にもっと大阪を誇りに持つことを、誠心誠意訴えられたから感動したのだと思います。最後に「くいだおれ太郎」も特別出演し、座をもりあげてくれました。くいだおれの女将さんの姿もお見受けしました。桂三枝さん、これからも大阪に元気を与えていってください。

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2009年4月11日 (土)

「鑑真和上展」(奈良国立博物館)を観て

 名残の桜と鑑真和上を求めて奈良公園を訪れました。汗ばむような初夏を思わせる日差しの中、奈良公園はたくさんの花見客でにぎわっていました。しかし、一度奈良国立博物館に入ってしまうと、そこは人影も少なく照明を落とした中、ひっそりと天平の気分が漂っていました。Dsc_0313

 そして、再会することができました。鑑真和上像です。唐招提寺でお目にかかってから、もう数十年たっているかと思います。今回はガラスケース越しではありますが、本当に身近に拝見することができました。閉じられた見えない目に、口元は微笑んでおられるようで、「お前も苦難を乗り越えてがんばるんだよ」と癌の転移の告知を受けた自分に語りかけて頂いているようで、とても感動しました。出口の方には東山魁夷のふすま絵が展示されていて、特に海を描いた絵は風や波の音が聞こえてくるようでした。
 
 「花ふぶき満開よりも心打つ」。この俳句は先だって卒業した生徒が作った句です。この句に詠まれた情景をなんとか写真に納めようと、奈良公園内を散策しました。すると風が立つたびに、何百何千という花びらが青空にふきあげられる見事なシーンを観ることができました。生徒が言うように、どこか悲しみに似たはかなさを感じました。散る姿もしっかりと心に残しておいてあげようと思いました。

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