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2009年3月

2009年3月30日 (月)

ドラマ「DOOR TO DOOR 僕は脳性マヒのトップセールスマン」を観て

 アメリカで脳性マヒという「障がい」を乗り越え、トップセールスマンであり続けたビル・ポーターさんを描いた『きっと「イエス」と言ってもらえる』のテレビドラマ化。
 
 「働く」ということが人にとってどれだけ大事なことか、よく伝わったドラマでした。
働くというのはただ食べていくためのものではないのです。働くことで自立し、初めて自分が社会に認められるのだということ。障がいを持つがゆえに、主人公にとってのその気持ちはより強いものがあったのだろうと思います。しかし、身体が不自由で言語障害もある者がセールスマンをするということ自体、並大抵ではない気力と勇気がいっただろうことは想像を絶するものがあります。「やりたいことと、できることは別だ」という言葉が出てきます。その仕事が自分のやりたいことではなくても、できるように努力をすればきっと自分の仕事になるというような意味だと思います。やりたい仕事ばかり追い求めていては、いつまでも続けられる仕事には出会えないと。とにかく、与えられた目の前の仕事にベストをつくしてみるということ。主人公は何度もはねのけられようとも、「ピンチをチャンスにする」という前向きな態度で、ついにはその誠実さが顧客の心をつかんでいくのです。ニートと呼ばれる若者達にもぜひ観て欲しいドラマだと思いました。
 
 ドラマ「マラソン」に引き続いて、障がい者を演じた二宮和也。不自由な身体表現の中にも、ひたむきな姿をにじませたいへん感動させてもらいました。

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2009年3月22日 (日)

フジテレビ開局50周年記念番組『黒部の太陽』・前編を観て

 熱いドラマでした。ひさしぶりに「男」という言葉を聞いたような気がします。「お国のためという言葉で俺たちをあおるのはやめてほしい。俺たちは俺たちの意地と誇りのためにトンネルをほるのだ」という主人公の土木屋の親方である倉松仁志(香取慎吾)の言葉が胸につきささりました。ややもすると失われつつある日本人としての、そして男としての自信と勇気を、もう一度このドラマは感じさせてくれました。

 戦争の影から何とか抜け出そうとしてもがいていた日本。その中で国民を裏切ってはならないと、電力不足を克服しようと必死の思いで大プロジェクトを立ち上げた電気屋・関西電力、この事業を沽券にかかわると引き受けた土木屋・熊谷組、そしてその下請けのトンネル屋の職人達がいました。彼らがひとつのチームとなって、トンネル工事に立ち向かっていった姿は感動的でした。そこには壮大な事業を完遂させようとする、男たちの魂があったのです。いつ破砕帯にぶつかり地下水が噴き出してくるのかと、戦々恐々と見入ってましたが、工期を遅らせまいと何があっても、1mでも掘り進めようと前進する人々に熱いものがこみ上げてきました。仰々しい美化した目的などいらない、ただやりとげることだけに命をかけた男たちのいたことを忘れてはならないと思いました。

 映像作りにおいては、黒部の美しい自然を時折挟みながら、その地中で繰り広げらる人間と自然との格闘を対照的にうまく描いていたと思います。またトンネル工事の専門用語の解説がテロップで流され、たいへんわかりやすかったです。

 親方を演じた香取慎吾。彼の持つお茶目なキャラとは裏腹の男っぽい演技が要求される役どころでしたが、岩盤に向き合う熱いまなざしが素晴らしかったと思います。

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2009年3月20日 (金)

映画「ワルキューレ」を観て

 「祖国を救うためというより、人の命を救うため」。映画の冒頭に出てくるヒトラー暗殺計画の中心人物だったシュタウフェンベルク大佐の言葉です。一人のドイツ人(ヒトラー)がすべてのドイツ人でないということを世界に訴えるために、彼らは行動を起こしたのです。この「ワルキューレ作戦」は単にヒトラーの暗殺に止まらず、政権をナチスから奪回し、連合国との休戦を目的とした大がかりなクーデター計画であったことをこの映画を観て初めて知りました。ヒトラーの独裁政治による非人道的な行為を止めさせるためのネットワークが、良心的な将校や将軍たちの中にできあがっていたことにも驚きました。しかし、計画が挫折することは歴史上知ってしまっているので、映画を観る上での関心は、警戒網をくぐっていかに計画が実行できたかというハラハラ、ドキドキさと、彼らを待ち受けている運命です。特に主人公のシュタウフェンベルク大佐が行動中に、何度も家族の安否を知ろうとする場面が印象的でした。一人の人間が生きているか死んでいるかだけで、多くの人間の態度や運命がオセロの白黒のように変わってしまうということを思い知らされ、あらためて独裁政治・ファシズムの恐ろしさを感じた映画でもありました。
 
 隻眼のドイツ軍将校を演じたトム・クルーズ。迷うことなくひたすら命をかけて、信念を貫いた主人公を、時にはカッコ良く、時には恐ろしいほどに鬼気迫る熱演で描写していました。

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2009年3月17日 (火)

卒業生に贈る詩

 今年も最後の学年通信に詩を書きました。

    いつもと変わらないといこと

    いつもと変わらないということ                  
       あたりまえのように過ぎる毎日             
        でも、気づかないかもしれないけれど            
        それはとても幸せなことなんだ                  
        いつしかだれも別れをつげる時がくる         
        今、そばにいる人でさえ                        
       だから                                       
       家族とくつろぎ                               
       友とはしゃぎ                                 
        今いつもと変わらないこの時があることは       
        とても大切なことなんだ                        
                                                    
        いつもと変わらないということ                  
        あたりまえのように過ぎる毎日             
       でも、何気ないことかもしれないけれど         
       それを忘れないことはとても大事なことなんだ   
       今が永遠に続くなんてありっこない             
       いつしか、すべてみんな彼方に消えてしまう      
       だから                                       
        笑ったり                                     
        喜んだり                                     
        悲しんだり                                    
       へこんだり                                    
        今いつもと変わらないこの時があるということは 
        とてもかけがえのないことなんだ               
                                                    
       今、この一瞬、あなたと共に生きたことを       
       今、この時に、あなたと出会えたことを         
       あなたの笑顔 あなたの言葉                   
       どんな小さなことでさえ                        
       いつまでも                                    
        覚えていよう                                
        ここにあなたと自分が生きたあかしとして       
        そっと胸の引き出しの奥にしまっておきたい      
                                                      
        そしていつしか、時がきたなら                  
        思い出つまった引き出しを開いて               
        こぼれ落ちた 思い出のかけらをひろい集めてみよう
        そこにかつて確かに生きていた自分がいるから   
        そして、今を確かに生きている自分がいるから 
 
                                                   

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2009年3月15日 (日)

映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」を観て

 前作の「チーム・バチスタの栄光」では原作を読んでからの鑑賞だったので、犯人捜しという面白さが半減してしまいましたが、今回は田口医師(竹内結子)と白鳥圭輔(阿部寛)以外は何の予備知識も無いままで、映画の展開に期待しての鑑賞となりました。

 結論から言うと、結末がある程度見通せてしまう内容で、動機や犯罪性においても焦点がボケていた感が否めません。正直ミステリーとしては物足りなく思いましたが、人物の描き方には惹かれるものがありました。特に救命救急医の速水医師(堺雅人)。ジェネラルと呼ばれるカリスマ性・独裁性を見せながらも、実は気の弱さを内に秘めているというキャラ。一人でも多くの人命を救うという使命を果たすためには、自分を偽ってでも人を動かしていかねばならない「救命救急」の現場の壮絶さを感じることができました。救命救急のリーダーとしては、如何に敵を多くつくろうとも、部下に嫌われようとも職務を全うせねばならないと。それから、いかに利益をあげるかという病院経営、いかに出世するかという医師の策略、そしていかに人を救うかという医療の目的、これらが三つどもえとなっている大学病院のかかえる問題も浮き彫りにしていたように思います。映画のつくりとしては、ところどころコミカルなタッチも交えながらも、終盤にいたるまではBGMもなく、淡々と描かれていたのが、最後の大事故の発生でおこる病院のリスクマネージメントを一気に見せることで、チームとして命を守る現場の姿をよく現せていました。
 
 堺雅人は、難しい役どころでしたが、とても魅力的に演技していました。特に真相究明の倫理委員会での場面がとてもカッコ良かったです。

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2009年3月 8日 (日)

NHKドラマスペシャル「白洲次郎」第2回 『1945年のクリスマス』を観て

 この人はやはり違うと思ったのは、自分に来た召集令状を知人の軍人に頼んで握りつぶしてもらったところです。「自分の一片さえもこの戦争に捧げることはできない」、この言葉が印象的でした。軍人でもない百姓が戦争に役立つはずがない、外交も政治も知らない軍部が始めた戦争には何の意味もないと。それぞれの人間には与えられた使命があり、それを果たしてこそ、価値があるのだというのが彼の矜持だと思いました。その考えを浮き彫りにするかのように、対角線上に配置されていたのが近衛文麿のようでした。リベラルでありながら、敵をつくることを恐れ言うべきことを言えず、結局は流れに飲み込まれてしまいました。そして、白洲次郎の面目躍如たる戦後の歴史が始まります。「唯一従順ならざる日本人」として、GHQに卑屈にならず渡り合う姿は本当にカッコ良く思えました。吉田茂の「戦争に負けて外交で勝つということもある」という言葉がありましたが、まさしく彼の行動は日本人として守るべきものは守る、言うべきことは言うという姿勢を貫いたのだと思いました。しかし、彼の周囲にはなんと魅力的な人間の多くいたことか。川上徹太郎、青山二郎、そして妻の白洲政子。いずれも世俗に染まらない生き方が、互いに真実を見極める目を育てていったのでしょうか。
 
 独特の空気と音楽でドキュメンタリータッチになることなく、人間ドラマとして成功したと思います。浜田真理子が歌う『しゃれこうべと大砲』は、言いようもない挫折感や悲しみの中に、はいあがってくる人間の姿を感じることができました。NHKに要望です。最終回が早く観たいです。8月の終戦記念番組にするのかもしれませんが、なんとか来月ぐらいにしてもらえないでしょうか。

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2009年3月 1日 (日)

NHKドラマスペシャル「白洲次郎」第1回を観て

 白洲次郎の生涯をドラマ化した作品(全3回)。

 最近いろいろなジャンルで白州次郎という名前をよく見かけていました。なぜ今白洲次郎なのか、その理由がこのドラマを観てわかったような気がしました。それは優柔不断で自分のなすべきことをなさぬままに、政治を投げ出す政治家が相次ぐなかで、白洲次郎は主義主張にとらわれず、自らの言うべきこと、なすべき事を相手かまわずに挑んでいった人物だったからです。英語を自由に操り、スポーツカーを乗り回すなど日本人とは思えないかっこよさが異色でしたが、少年時代育った関西の風土と破天荒な父親の性格が影響して、白洲次郎にホンネでものがいえる気質が育っていたからに違いないと思いました。底流にある関西人の合理主義と、イギリス留学で培ったジェントルマン精神が、気骨のある生き方につながったとも言えるのではないでしょうか。 「正しいという漢字は一つの所に止(とど)まると書く」という言葉がドラマで紹介されていました。自分の良心や、自分の信じることに従って生きることが正しことだと。人生はそんなに甘くはない、人との駆け引きやバランスが大事だということもわかるのですが、国民のリーダーとして望むべきはそんな信念を持つ人物ではないかと思ってしまいました。第1回は時間の流れが速すぎて、白洲次郎とはいったい何をした人物かよくわからないままに終わりましたが、第2回以降の彼の真骨頂である戦後の活躍が楽しみです。
 
 大友良英が無国籍風な音楽で雰囲気をつくり、白洲次郎を演じた伊勢谷友介が戦う紳士のイメージでドラマを作りあげていました。

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