NHKドラマ「ガラス色の恋人」を観て
日本放送作家協会主催 第32回創作テレビドラマ大賞受賞作。沖縄の琉球ガラス工房で働く小日向美波(吹石一恵)のもとに、ガラス造りに魅せられた大学生・月野圭介(崎本大海)が訪れる。その後、圭介に移植された心臓は、美波の亡くなった恋人・笠原英貴(瀬川 亮)の心臓だったことがわかり・・・・。
小説やテレビドラマで、心臓移植された人の性格が心臓提供者の性格と似てくるという話を聞いたことがあります。実際にもそのような事実があるようで、「記憶転移」というそうです。このストーリーもこの話を一つがモチーフになっています。圭介が初対面の美波に出会った時、驚いて思わず手にしていたガラス瓶を落としてしまったり、英貴が言った同じ言葉(「細胞レベルでいやされる」)を圭介が口にするというシーンです。
しかしこのドラマはその不思議さと、二人の奇跡的な出会いが大きなテーマになっているのではなく、ガラスの再生に重ね合わせて、人間の命のつながりと生きることの喜びを表現しているのだと思いました。亡くなった人の命は、このドラマでは象徴的に心臓なんですが、あるいは言葉であったり、あるいは思いであったりして、自分の命そのものの中に生き続けているのだと。だから自分だけの命ではない、ゆえに命をかつぐのは重いけれど、しっかりと自分を生きることが命をつないでいくことになるのだと。それに気づいた美波と圭介は、まさに新しい人生への再生をはかったのだと思いました。沖縄の美しい海と、沖縄の心優しい人たちがいっそうこのドラマを感動的にしていました。短編なのに素晴らしい脚本だと思いました。
荒削りだけど、恋人の面影を胸に真摯に生きようとする美波役を、吹石一恵がとても魅力的に演じていました。
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