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2009年1月

2009年1月25日 (日)

映画「誰も守ってくれない」を観て

 「15歳には重すぎる」というセリフがありましたが、幼女殺害の疑いで逮捕された兄、命をもって我が子の罪を償おうとした母親、そのつきつけられた現実は、いたいけな中学生の少女にとっては耐えきられるものではなかったと思います。

 また犯罪者の家族として背追っていかなければならない十字架だけではなく、マスコミの容赦のない取材攻勢に加えて、人権を無視し好奇心を満足させるだけのネットの書き込みにさらされてしまうのです。特に後者は、映画で出てくるスクープをねらう新聞社ですらあきれてしまうほどの、写真・実名なんでもありの無法地帯となってしまっていました。その姿を見せないおそろしさを映画ははっきりと描写していました。そこにはモラルも責任も何もなく、知り得ないことを知り得たという充足感で行動している人間の心の闇の世界を感じるだけです。

 そのようなものからも逃げねばならなくなったことに、映画で使われたセリフではありませんが「背筋が寒く」なってしまいました。、今回初めて警察に容疑者の家族の保護という仕事があることを知りましたが、このような状況におかれた家族への配慮は、マニュアル通りのビジネスライクで心が通っているとはいえません。

 その中で保護の任にあたった刑事が過去の出来事を通して、人間の弱さや家族のつらさを感じていたからこそ、少女の心が開かれたのだと思います。人の心の痛みを感じられるものだけが、人を本当に守ることができるのだと。現代社会の病理を描いた重いテーマの映画でしたが、最後は温かい気持ちになるこができました。
 
 刑事役の佐藤浩市、人間味を感じさせる演技で好感を持つことができました。妹役の志田未来、マスコミにさらされる恐怖の表情が秀逸でした。後輩刑事の松田龍平、今風の若者だけど仕事はできるという雰囲気をよく醸していました。

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2009年1月18日 (日)

映画「感染列島」を観て

 パンデミック(感染爆発)が予想される新型ウィルスを想定したシミュレーション映画。
 
 絵空事ではないだけに、その恐怖を実感することができました。「この向こうは戦場なんですよ」というセリフがありましたが、ウィルスが特定できないままに、数限りなく搬送されてくる患者を前にして、医師や看護師の戦いは壮絶を極めていました。ここにはテレビでよく登場するようなゴッド・ハンドを持った救命救急医は登場しません。使命感だけで、必死で立ち向かう彼らの姿に本当に尊いものを感じました。しかし、その中で一人でも多くの命を救うためには、トリアージ(救命の順序)をとらなければならない非情さも必要であることの難しさも同時に感じました。

 地域封じ込めによるパニックはよく描かれていましたが、社会機能がマヒする中、食料や電気、ガスといったライフラインはどうなるのか、通信手段(映画では携帯電話がつながっていましたが)は生きているのかなど想定しなければならない事はもっとあるようにも思いました。その一方、
ウィルス感染の原因を、人間の欲望による自然破壊にあったことを明らかしていくことで、単なるパニック映画に終わらせなかったことは良かったです。

 そして最後には特効薬ではなく、人間と人間のつながりで命を救えるとしたことで、少しでも希望を与えてくれる作品になっています。「たとえ明日、地球が終わろうとしても、君は今日リンゴの木を植える」という言葉が出てきましたが、最後の最後まであきらめず前を向く姿を訴えていて、大変感動しました。
 
 ウィルス感染した患者の第一診察者として、懸命に治療にあたる医師・松岡 剛を演じた妻夫木聡。もともと優しい気持ちを持った普通の医師が、人々が断末魔をあげていく中、あきらめずに向き合っていく医師に変わっていく様を熱演していました。みんなが防護マスクをしてしまうと、誰が誰だかわからなくなるシーンもたくさんありましたが・・・。WHOのスタッフを演じた壇 れいさん。クールな中に温かい心を忍ばせていて、とても美しく思いました。

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2009年1月17日 (土)

三谷幸喜作・演出「グッドナイト スリープタイト」大阪公演 17日 昼の部

 この舞台は「なにわバタフライ」「コンフィダント・絆」と続く、三谷作品の中では音楽がひとつの仕掛けとなっていく作品の流れのひとつだと思います。今回はさらにその発展系で、二人芝居としながらもバンド(管鍵”楽団!?)の人たちがコメディアンよろしく、場面にからんでくる面白さがありました。(ピアノの荻野清子さんがおかしい場面でも笑いもせず、真剣に舞台をみつめタイミングをとられていたのがまた印象的でした) 

 三谷さんの前説(もちろん録音ですが)によると、GOOD NIGHT SLEEP TIGHTというのは決して”金縛り”の意味ではなく、「ぐっすり寝ること」らしいのですが、舞台に置かれた二つのベッドの距離が、夫婦の心の距離をあらわし、それが次第に遠くなってしまうまでに、二人にどんな会話があったのかを、時間を来つつ、もどりつしながら演じられていきます。(いつのことなのかわかりやすくするために、二人で過ごした日にちが電光掲示板になっていました。最初は数字が時間なのかなんなのかよくわかりませんでしたが・・・)

 「永遠などない」というセリフがありましたが、最初は永遠に続くと思われていた愛が、忘れてしまうなどと及びもつかなかった事や言葉が、いとも簡単に壊れて忘れ去られてしまう二人の様が、夫婦者には身につまされるがゆえにおかしかったです。そう言えば、出演者の夫婦は名前で呼ばれず、きっと誰にでも置き換えられるように考えられていたのかもしれません。ただ男の目から観れば、夫の方は優しさから一生懸命妻に合わせようとしているのに、妻はそんな気弱な夫がたまらず、自分の思いのままにやりたいことをやっていこうとしたことが亀裂の原因だと感じるのですが。夫も最初からもっと自己主張すべきだったのでしょうね。こうなったら二人の関係を維持するには、男が、昔と同じような気持になることがないとわかっていながらも、一生このままでいこうとがまんするしかないのかもしれません。ちょっと切なさが残る作品でした。
 
 今回は脚本のうまさで笑いを取ると言うのではなく(ペットの「出現」にはさすがに意表をつかれましたが)、笑いは中井貴一と戸田恵子の演技力によるところが大きいと思いました。特に二人のダンスは絶妙でした。ほとんどパジャマだけの中井さんに対して、ファッションショーさながらの七変化の戸田さん、攻めの戸田さんに対して守りの中井さん。この対比が劇を面白くしていたのは明らかです。この二人のコラボでまた是非続編が見たいですね。戸田さんの歌も聴きたいです。奈良ドリームランドがスポンサーのCMソング、「コスモ生命の歌」をもう一回聴きたいです。

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2009年1月12日 (月)

映画「チェ 28歳の革命」を観て

 昨年は「母べぇ」から「ハッピーフライト」まで日本映画を中心に26本の映画を観ましたが、今年は洋画「チェ 28歳の革命」からのスタートとなりました。
 
 革命家で現代の若者にも人気のあるチェ・ゲバラが、キューバのバチスタ独裁政権を倒すために1956年にカストロたちとメキシコからキューバに渡り、ゲリラ戦を繰り広げる中、ついに1959年に「キューバ革命」を成功させるまでの姿をドキュメンタリータッチで描いています。
 
 持病のぜん息に苦しみながら山岳地帯のゲリラ戦を続ける姿は、痛ましくさえ感じました。そんな病弱の彼がなぜ革命に身を投じたかは、やはり抑圧者を憎み農民を愛するヒューマニズムにあったと思います。決して負傷者を見捨てることなく、読み書きを知らない兵士には学校で学ばせ、そして略奪を許さない態度によく表れていました。アメリカ人記者がインタビューする場面で、革命の精神は何かと聞かれたゲバラが、「愛」であると答えたのが印象的でした。しかし、愛やヒューマニズムと武力闘争を繰り広げる生き方とは矛盾するようにも思えます。それについても彼は「狂い」がなければできなかったと言っていました。本気で革命を起こそうと思えば、「狂気」がなければならないと。それだけ時代が追い詰めていたのだとも感じました。それでも権力や名誉や功名心ではなく、純粋に民衆を救おうとした彼のハートが、今でも多くの人を魅了してやまないのでしょう。
 
 ゲバラを演じたベニチオ・デル・トロのジープに乗り葉巻をくゆらす姿が、ゲバラの雰囲気をまさによく出していました。

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2009年1月10日 (土)

ミュージカル「RENT」 大阪公演 10日 昼の部

 今年最初の観劇はミュージカル「RENT」です。以前に映画版で感動したので(映画の感想やストーリーはhttp://hishiya.cocolog-nifty.com/mokumoku/2006/12/post_9197.htmlをご覧下さい)、是非舞台を観たいと思っていました。想像に違わず、生バンドが常に舞台下手奥で演奏する中、出演者のすばらしい歌とダンスを楽しむことができました。さすがにブロードウェイミュージカルだけあって、まさにショーを観ているような感覚でした。それも夢あふれるけれどもやはり絵空事のミュージカルなんかではなく、家賃(RENT)も払えないほどの貧困や侵されたエイズに苦しむ中、同性愛などの様々な愛の形をつまびらかにし、心傷ついた者同士が過去を棄て、肩を寄せ合って今この瞬間を生きていこうと全身で訴えかけるリアリティあふれた舞台になっていました。つくられた当時と時代は違いますが、「派遣切り」などで生きづらくなってしまった現在の日本ともオーパラップするようにも思えました。こんな時代だからこそ、自分を飾ることなく、人を想い人を愛することがどれだけ大切かということが、たくさんのナンバーから胸にしみいりました。特に2幕最初に全員で歌う「1年の52万6000分を愛で刻んで生きよう」は心が震えるほど感動しました。

 どの出演者も抜群の歌唱力とエネルギーあふれるパフォーマンスで、見応えある舞台になっていました。いつもカメラをまわしつつづけ今この瞬間を切り取っていたマークを演じた森山未來、シャイな少年のような表情と柔らかな身体の動きが(タンゴが良かった)印象的でした。マークの友達でエイズ患者のロジャーを演じたK、さすがにその透明感あふれる歌声がすばらしかったです。ダブルキャストのため70回公演となる今回が最後の出演ということで、カーテンコールではMisrockと共に涙の!舞台あいさつをされていました。そしてゲイで無垢な愛を持つエンジェルを演じた辛源、初舞台ということか登場するたびに大きな拍手を受けていましたが、なんとも言えずセクシーでした。

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2009年1月 6日 (火)

東野圭吾著「聖女の苦悩」を読んで

 昨年に同時刊行されたガリレオシリーズ「ガリレオの苦悩」「聖女の苦悩」を続けて読みました。テレビドラマと映画の影響で、内海薫は柴咲コウが喋ってるように思え、湯川学は福山雅治が喋ってるように思え、登場人物のイメージが自由にならなかっのが難点でしたが。ここでは長編作品の「聖女の苦悩」の感想を書きたいと思います。前作の「流星の絆」のような劇的な展開はあまり無く、どちらかというと心理劇を観ているような感じで、とりわけ女性心理を女性刑事の内海薫の鋭い感性で明らかにしていくことにおいて、秀でた作品だと思います。それも、作者の女性に対する深い観察力のなせる技なんでしょう。しかも最後には有り得ない心情の風景をガリレオこと湯川先生により、つまびらかにされるこで、そんな世界もあったのかと思う気分になれました。とは言うものの、トリックにおいては確かにユニークさはありましたが、犯罪を構築しようとする心理においてやっぱり不自然さはぬぐいきれませんでした。きっとそれは長編小説で、読み手に深く考える余裕を与えてしまったからではないでしょうか。たとえば「毒盛る」といったようなタイトルで短編にした方がよりおぞましさを感じることができたように思うのですが。

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神戸港クルージング「コンチェルト」

 休暇を取って家族4人で神戸に小旅行に出かけました。ことの起こりは教職員互助組合のパンフレットで冬の特別割引プランとして、ポートピアホテル1泊4000円の案内を見たからでした。しかも「宿泊施設利用補助券」を利用すれば一人1000円で宿泊できることになり、さっそく申し込むと4人部屋(フォース)を取ることができました。通常この部屋は一人あたり1万円するので、結局10分の1の価格で一流ホテルに泊まれることになりました。

 実際行ってみると、テラスもついたオーシャンビューの広い部屋で、こんなに安く泊まれることが信じられないほどでした。観光の方もホテルの無料シャトルバスを大いに使って、生田神社で初詣、人影も少ない異人館から布引ハーブー園へ、翌日は神戸空港でジェット機の離陸風景を楽しみ、そして南京町でごま団子や豚まんを頬張り、メリケンパークから神戸港を眺めるというなんとも贅沢な観光でした。


 ホテルからの夕日

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神戸空港

 しかし、なんと言っても今回のメインは1日目夜の神戸港クルージングです。最初有名な「ルミナス」を考えていたのですがこの期間は運休ということで、調べてみると別に「コンチェルト」というクルージング船があったので予約しておきました。夜7時20分、観覧車もあるMOSAICの岸壁にポートタワーを背景に停泊する姿は、なんとも豪華な雰囲気を漂わせていました。たまたま正月のスペシャルドラマで観たドラマ「相棒」で登場した横浜港の「ロイヤルウィング」に 雰囲気が似ていました。暗い海から眺める、細い光の帯が横に連なって見える神戸の夜景はまた格別でした。ライトアップされた明石大橋を夜風に吹かれながらデッキから見つめることもできました。2時間ほどの船旅でしたが、ジャズの生演奏を聴きながらの中華バイキングもおいしく頂くことができ、神戸の夜をこんな風に楽しめてとても幸せでした。帰りにはお年玉として無料乗船券を4枚も頂戴したので、職員旅行にでも使わせてもらおうかなとも思っています。

Dsc_0045_edited2 コンチェルト

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