映画「誰も守ってくれない」を観て
「15歳には重すぎる」というセリフがありましたが、幼女殺害の疑いで逮捕された兄、命をもって我が子の罪を償おうとした母親、そのつきつけられた現実は、いたいけな中学生の少女にとっては耐えきられるものではなかったと思います。
また犯罪者の家族として背追っていかなければならない十字架だけではなく、マスコミの容赦のない取材攻勢に加えて、人権を無視し好奇心を満足させるだけのネットの書き込みにさらされてしまうのです。特に後者は、映画で出てくるスクープをねらう新聞社ですらあきれてしまうほどの、写真・実名なんでもありの無法地帯となってしまっていました。その姿を見せないおそろしさを映画ははっきりと描写していました。そこにはモラルも責任も何もなく、知り得ないことを知り得たという充足感で行動している人間の心の闇の世界を感じるだけです。
そのようなものからも逃げねばならなくなったことに、映画で使われたセリフではありませんが「背筋が寒く」なってしまいました。、今回初めて警察に容疑者の家族の保護という仕事があることを知りましたが、このような状況におかれた家族への配慮は、マニュアル通りのビジネスライクで心が通っているとはいえません。
その中で保護の任にあたった刑事が過去の出来事を通して、人間の弱さや家族のつらさを感じていたからこそ、少女の心が開かれたのだと思います。人の心の痛みを感じられるものだけが、人を本当に守ることができるのだと。現代社会の病理を描いた重いテーマの映画でしたが、最後は温かい気持ちになるこができました。
刑事役の佐藤浩市、人間味を感じさせる演技で好感を持つことができました。妹役の志田未来、マスコミにさらされる恐怖の表情が秀逸でした。後輩刑事の松田龍平、今風の若者だけど仕事はできるという雰囲気をよく醸していました。
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