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2008年12月

2008年12月21日 (日)

KAZUMASA ODA TOUR 2008 今日もどこかで FINAL 20日 京セラドーム

 今、昨日のコンサートの余韻のさめぬままに、小田さんのCDを聞きながらこのブログを書いています。大阪城ホールであった2度のツアーはいづれもはずし、満を持してやっと手に入れたチケットが、ツアーのFINAL公演ということで感無量の気持ちで京セラドームに向かいました。

 会場に入ると、どこに球場があったのかと思わせられるほど、スタンドもフィールドも人で埋め尽くされ、しかも雰囲気は成熟した熱気というような小田和正のコンサートならではのものを感じることができました。自分はその数万の観客のひとりに過ぎなかったわけですが、自身は小田さんと心からふれ合えたような気がしました。

 それは、「愛を止めないで」などでマイクをたびたび観客に向けられ、また時には小走りに時には自転車で、会場のいたるところに手を振られ、ひたすら歌声を届けようとされていた思いが伝わったからだと思います。MCで歳のことをよく話題にされていました。「先だっても、・・・『せんだっても』なんて言葉は若い時は使わなかったけどな」、「船頭さんという歌を聴いてどきっとしましたよ、♪村の渡しの船頭さんは今年60のおじいさん♪」「なんで歳をとると、椅子に足の小指をぶつけるんでしょうね」などなど笑いを誘っておられました。確かに話し方などはどこか好々爺という感じもなくはなかったですが、それでも3時間近くのコンサートでその透き通った高音は少しもかすれることなく、最後まで熱唱されていました。きっと気持ちや感性がいつもみずみずしいから、いつも輝いておられるんだと思いました。

 「さよなら」などオフコース時代のなつかしい曲はもちろんのこと、初めて聞いたり新しくつくられた曲を聴いても、やっぱり心を振るわせられるのは、澄みきった歌声とともに歌詞のやさしさ、温かさにあると思います。よく言葉に出てくる「僕」と「君」そして「あなた」と二人の世界の、時を越えてまで「愛しているか」と自分に問いかけ、小さなできごとにも幸せをみつけようとされるその思いに共感し涙するからだと思います。そして二人の世界だけではなく、子どもや家族や出会ったすべての人たちに、だいじょうぶだよ、ひとりじゃないよ、誰かがいつも君を観ているよ、と人と人とのつながりをも大切にしたいというメッセージがこめられているからだと思います。

 最後、幾万の魂が揺れるように見えた美しいペンライトが振られる中で、別れを惜しむかのように何度も何度もアンコールに応えて頂きました。ほんとうに素晴らしい時間を多くの方と共有でき、幸せな気分のままに帰路につくことができました。

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2008年12月13日 (土)

「表裏源内蛙合戦」 大阪公演 13日昼の部

 蜷川幸雄演出による井上ひさしの作品を観るのは、「道元の冒険」に次いで2度目になります。東京公演の感想を読んでいると、4時間あまりの上演時間にしんどさを感じておられる方が多いようで、正直僕自身も集中して観ることができるか心配していました。しかし、多少お尻は痛くなりましたが、そんなことも忘れさせてくれるぐらいに引き込まれてしまいました。2時間10分の1幕も、1時間40分の2幕もそんな時間がいつの間にたったのかと思うほどでした。それはひとつ、ひとつよく練られたコントを積み重ねたような展開に、井上ひさし一流の言葉遊びによる数々の歌が彩られて、決して飽きることなく劇に乗せられていったからだと思います。蜷川さんの演出も艶やかでそしてコミカルで、変幻自在の感がありました。特にシンクロさせながらも一人一人の存在を感じさせてくれる、エネルギッシュな群衆の描き方が素晴らしい。また一人の人間を表と裏で登場させるというのもおもしろい。才能あふれるが自省的な表の顔に対して、思慮には欠けるが楽観的で行動的な裏の顔。最初はお互いに笑い合って共存できていたのに、表が裏を許せなくなったときに破綻がおきてしまいます。
 
 発明家平賀源内としかあまり知らなかったのですが、この劇を観て彼が作家であり、画家であり、起業家でもあるというマルチな人間であったことがわかりました。また劇を通して、江戸時代という社会の姿も垣間見ることができたと思います。平賀源内が現代に生きていれば、きっとそのアイデアを生かしベンチャービジネスで成功していただろうに、身分や権力がモノを言う封建社会にあっては、平賀源内も奇人でしかなかったのでしょう。最後の「人や国のためにいろんなことをやってきたが、結局自分はは米食う虫でしかなかった」というセリフが悲しかったです。それでも「美しい明日を思うならば」と全員で歌うシーンには胸打たれました。この戯曲ができた70年代の時代の「気分」でもあったと思うのですが、貧困が問題となっている今の人々の願いでもあると思いました。

 表源内の上川隆也さん、時にはコミカルに時にはシリアスに、源内になりきっておられたと思いました。裏源内の勝村政信さん、やわらかい演技で楽しませていただきました。またお二人の歌を初めて聴きましたが、なかなかのものでした。
 

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2008年12月 7日 (日)

「冬の絵空」7日 大阪公演 昼の部

 サンケイホールプリーゼ柿落し公演。リニューアルされてから初めて、この劇場を訪れました。ビルに入るとまず一見ピノキオのような巨大な木製の操り人形が出迎えてくれます。ホールはビルの7階にありました。ロビーがちょっと手狭な感じがした以外は、外は白、中に入ると黒に統一されて大変美しく仕上がった劇場でした。
 
 「冬の絵空」の絵空とはたぶん絵空事の意味なんだろうと思います。つまりありもしないということ。赤穂浪士の吉良邸討ち入りという劇場型事件を舞台にして、しかも大石内蔵助が味方をも欺いていたということを逆手にとって、私たちがよく知っている「忠臣蔵」とはかなり異なる解釈で、ウソとマコトを描いていきます。元禄という人々が常に新しい快楽を求めていた時代にあって、赤穂浪士というのは、絶好の庶民の要求を満たすスーパーヒーローだったのでしょう。しかし、ホントはそんなスーパーヒーローなんて絵空事にすぎないのに、乗せられてはめられてウソのお芝居を演じなくてはならなくなった、そんな感じで物語は進んでいきます。観ていて誰が本気なのか、わけがわからなくなってしまいます。また事件のウソ・ホントだけではなく、現世と来世、人間と犬の境目さえもウソかホントかわからなくしてしまう手のこんだ展開にもなっています。現代においても、ウソの世界に人々は酔ってしまっているのではないか、そしてありもしないことを現実におこそうとしているのではないか、そんな警鐘とも受け取れました。
 
 そう書いてしまえば、難解な演劇のように思われてしまいますが、生瀬さんをはじめ実力ある演技陣で、結構コミカルでエンターテーメントの要素も十分含んでいて、何度も笑わせていただきました。ブーフーウーの三匹の子豚の話などは最高に面白かったです。
 
 沢村宗十郎という歌舞伎役者を演じた藤木直人、いつも正面を見据えた演技がでとてもカッコ良かったです。特に仮面ライダーの変身ポーズばりの振り付け、そして細身で繰り出す殺陣がシャープで素晴らしかった。娘役と尼役を演じた中越典子、現実的な娘と幻想的な尼という難しい演技となりましたが、とても落ち着いていて安心して観ることができました。

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2008年12月 6日 (土)

映画「ハッピーフライト」を観て

 矢口史靖監督作品。初めての国際便の乗務となったCA(キャビンアテンダント)の斉藤悦子(綾瀬はるか)、機長昇格のための最終審査となったコーパイ(副操縦士)の鈴木和博(田辺誠一)、彼らが乗り込んだANAホノルル便だったが、途中でコンピューターの速度表示にトラブルがおこり、羽田空港に引き返すことになってしまう。
 
 矢口監督の映画づくりのうまさは、本当に素晴らしいものを感じます。一機のフライトにかかわる人間模様、仕事模様をあるときは緊張感を持って、あるときはコミカルに描くその緩急自在の展開は、観ていて決して飽きることはありませんでした。しかし、この映画にはどれだけの職種が登場したのでしょうか。パイロット、CA、整備士、管制官、グランドスタッフなどなど。(空港で鳥を追い払う係員や、ディスパーチャーといわれる天候や航路のサポートをする仕事があるのも初めて知りました)しかもこの映画では、カッコ良く華やかに見えるそれぞれの仕事の、我々が知りようがない裏側での厳しさやつらさをもつぶさに描いていきます。それはあたかもNHK教育の「あしたをつかめ」という職業紹介の総合版を観ている感もありました。仕事のプロとして生きるとはどういうことかを学ぶ一種のキャリア教育の教材にもなりそうです。それともう一つは、若い人を育てようとするベテランの姿です。若い人に決しておもねることなく、時には恐れられながら、煙たがられながらも、しっかりと難局を切り抜ける力を植え付けようとする彼ら彼女らの仕事ぶりには感銘すら受けました。特にチーフパーサー(寺島しのぶ)の客に謝るだけでなく、責任を持ってサービスを遂行しようとする言葉には本当に胸が熱くなりました。

 新米CAを演じた綾瀬はるかは、その持ち味のキャラがよく生きていました。グランドスタッフの田畑智子、親しみの持てるおもしろいお姉さんという演技で楽しませてもらいました。個人的には、ふだんはパソコンも扱えず部下にさげすまれながらも、いざというとき本気になって事を解決していくという岸辺一徳が演じた上司の役が良かったです。

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